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【WEB版】冒険者ライセンスを剥奪されたおっさんだけど、愛娘ができたのでのんびり人生を謳歌する 作者:斧名田マニマニ

11章 蘇れ! 『豚の夜鳴き亭』編

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88話 おっさんと少女、エルフの宴に招待される

 植林作業が早く終わったので、浮いた時間で雑用も手伝わせてもらった。

 そうこうしているうちに、夏の長い日も暮れていき――。

 やはり今回もルーイの家に泊めてもらうことになった。


「やったー! 泊まってくんなら、まくら投げしようぜ、ラビ!」

「しない……。ニキ、おうちの中でそんなことしたらだめだよ……?」

「こ、断られた……」


 ニキがガクリと項垂れる。

 それでも一緒に作業をするうち、ラビは成長したニキへの警戒心を解いたようで、ふたりは以前のような距離感に近づいていた。

 じゃあかくれんぼしようと誘い直したニキは、また即座に断られているが……。


 そんな子供たちの横では、カトリがそわそわと室内を見回している。


「エルフの家に泊めてもらえるなんて……。感動です……! しかもとっても素敵なおうちですねえ!」

「ああ、そうだな。しかもルーイの奥さんの料理は絶品だぞ」

「まあ、ダグラスさんったら。褒めても何も出ませんよ」

「料理と言えばダグラスさん。今日は村のみんなで宴でもしないかってことになったんですが、どうですか?」

「おお。ご相伴にあずかれるなら有り難い」


 宴会と聞いた途端、ニキとカトリが歓声をあげた。

 ラビはきっとおいしい食べ物を想像したのだろう。

 大きな目がキラキラと輝いている。


◇◇◇


 共同浴場を借りて汗を流させてもらったあと、着替えを済ませて涼んでからは、ルーイの家で宴がはじまった。

 顔見知りのエルフたちがどんどん料理や酒を持って現れ、時間が経つとともに参加者の数は一人また一人と増えていった。


「いやあー! 本当に、今日のあんたも見事だったよ!」

「俺たちも鍛えてみたんだが、まだまだダグラスさんには敵わないなあ」

「ラビちゃん、少し日焼けしたか? この村を出たあとどんなところに行ったんだ?」

「んと……ミルトンとバルザックと……トイ・ベリーと、あとねヒスコックもいったよ」


 あぐらをかいた俺の前にちょこんと座っているラビは、もぐもぐ口を動かしながら答えた。

 以前よくしてくれたエルフたちということもあって、人見知りのラビも、普段よりリラックスして見える。

 というより、ちょっとはしゃいでいるかもしれないな。

 そういえば俺も子供の頃、酒の席に混ぜてもらって大人と話したりするとき、やけにわくわくしたものだ。

 大人の世界を垣間見させてもらっている感じが楽しかったのだ。

 宴席というのは、子供にとってかなり特別な場だからなあ。


「トイ・ベリーってのは、海に面した避暑地でしたよね?」

「そう……お父さんがね、海の中に道を作って、トイ・ベリーの伝説になったの」

「海の中に道!?」

「生きる伝説になったってことか!?」

「さすがダグラスさんだな……!!」

「うん、お父さんすごいの……」


 ラビが誇らしそうに俺を振り返ってくる。

 生きる伝説などと言われて居たたまれないのに、ラビの誇りになれていることはうれしい。


「はーい、みなさん。とろろ芋とアカツキ豆の香草焼きができましたよ!」


 新しく運ばれてきた料理を見て、ラビがはっと息を呑む。


「わあ……!! これとっても美味しかったやつだ……!」

「ラビちゃん、このあいだ来たときにこれを美味しそうに食べてくれたでしょう? おばさん張りきっちゃったわ」

「すまないな、奥さん」

「いいのいいの。うちのニキも大好物なのよ」

「そっちのウサギさんや、このサラダを食べてみてくれ。人参とニンニクで作ったドレッシングが美味いぞう」

「人参とニンニク……! 神がかった組み合わせですね!? 是非、いただきますっ」


 ルーイのところの爺さんに勧められて、カトリが耳をピンッと立たせる。

 こんなに大人数が集まってきて大丈夫なのかと一瞬思ったものの、ルーイの家族たちも楽しそうなのでホッとする。


 そういえば以前も、火事場の片付け作業の後には大宴会が催された。

 あのときも楽しかったな。

 そんなふうに思い出していると、取り皿によそった料理が横からすっと差し出された。


「どうぞ、召し上がってください」

「ありがとう。……む、君は……ローズじゃないか」


 俺と目があった瞬間、ローズが少し恥ずかしそうに瞳を細めた。

 彼女は俺が以前この村に来たとき、思いを告げてくれた女性だ。


「げ、元気だったか?」

「はい。ダグラスさんも、お元気そうで安心しました」


 あんなことがあったというのに、彼女は穏やかな様子で俺に微笑みかけてくれた。


「旅先でのご無事をずっとお祈りしていました。本当によかった」

「あ、ありがとう……」


 参ったな。

 気恥ずかしくて、どういう顔をしたらいいかわからないぞ。


「ふふ。どうぞお気になさらず、料理とお酒を楽しんでいってくださいね」

「ああ……」


 見つめられていることに緊張しながら、渡された料理を口にすると――。


「うまい!」

「よかった。それはうちの家に代々伝わる煮物なんですよ」

「そうなのか。優しい甘みが染み込んでいて本当に美味いよ」


 パクパク食べていると、今度は反対側の隣から酒を勧められた。


「良い食いっぷりだね! ダグラスさん、酒のお代わりはどうだい?」

「こっちの料理も食べてくれよ。前はダグラスさんに食べてもらえなかったからな」

「ラビちゃん、このおさかな、骨がなくて食べやすいよ」


 方々から声をかけられ、てんやわんやしつつも食事を楽しんだ。

 みんなこころから再会を喜んでくれているようで、本当にありがたい。

 俺たちは進められるがままに食事を楽しんだ。


「なあ、ルーイ。そう言えば避雷針はどうなった?」

「あ、あー……えっと、行動を起こそうとは思っているんですが、なかなか……はは……」

「……?」


 一瞬ルーイが気まずそうな顔をした気がした。

 あまり上手くいっていないのだろうか?


「あの、ダグラスさん。今回の木材はバルザックに運ぶんですよね……」

「ああ」

「その……もしご迷惑でなければ、同行させてもらえないでしょうか……」


 ルーイの思わぬ言葉に俺は驚いた。


「それはもちろん問題ないが……」

「実は私たちエルフも、そろそろ変わらなければいけないと思っていたんです。だけど長年閉ざされた環境で生きてきて、どうやって人間との交流を深めればいいかわからなくて」

「そうだったのか」

「材木関係で付き合いはあったものの、そちらも長年ビジネスライクな間柄でしたから……。歩み寄る意思表示として、試しに値下げを提案してみたんですが、なぜか断られてしまったんです」

「断られた? なぜだろうな」

「大工と材木店の間で交わされている約束などもあるから、突然値段を変えられても……ということらしくて。でも単に警戒されたのかもしれません……はは……」


 なかなか上手くいかないものだ。


「それでこの件は一旦暗礁に乗り上げていたんです。でも今日、ダグラスさんに再会して改めて思いました。やっぱりこのままではいけないって」

「そうか」

「まずは人間の知り合いを増やしていきたいと思います。だからしばらく人間の暮らす街に滞在してみようかなって」


 半月かけて行うはずだった作業を、今日俺がすべて終わらせてしまったため、時間にだいぶ余裕ができたのだという。

 もともとエルフたちも真夏の盛りは、作業を休んでめいめい夏の休暇をのんびり過ごすそうだ。


「2ヶ月半は自由にしていられます。その間、バルザックで過ごしたいんです」

「だったら俺の知り合いを紹介しよう。皆、気のいい奴らだからきっと仲良くなれるだろう」

「本当ですか!  あの、それじゃあお礼と言ってはなんですが、もしよければご友人の宿再建、私にも手伝わせてください」


 ルーイは飲み食いの手を止めて、俺に深々と頭を下げた。


「おい、ルーイ……! 顔を上げてくれ。手伝ってくれるというのなら、こちらとしてもこんなにありがたいことはない。これからよろしく頼むよ」

「はい! ありがとうございます……!」


 俺がルーイに向かって盃を掲げてみせると、彼も笑顔で返してくれた。

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『幼馴染彼女のモラハラがひどいんで絶縁宣言してやった』
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【あらすじ】
一個下の幼馴染で彼女の花火は、とにかくモラハラがひどい。

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「颯馬先輩、ほーんと使えないですよねえ。それで私の彼氏とかありえないんですけどぉ」
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俺の人生を我が物顔で支配していた花火もいなくなったし、これからは自由気ままに生きよう。

そう決意した途端、何もかも上手くいくようになり、気づけば俺は周囲の生徒から賞賛を浴びて、学園一の人気者になっていた。
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