ラオパンです。
今回も前回に引き続き、田中社長の教えに従い倒産パターンを学んでいきたいと思います。
倒産パターンを学ぶのに参考にする本は、今回もこちらです;
この二冊の事例を、私なりに幾つかの倒産パターンに分類してみました。
数回に分けて各パターンと事例を紹介しますが、今回がその4回目です。
あなたも経営者として一歩でも田中社長の領域に近づきたいですよね?
手っ取り早く倒産パターンをインプットしていきましょう!
倒産パターン4:組織の学習能力が低い
「現代はVUCA時代」って目にしますけど、VUCAって何て読むんでしょうね。
突然ですが、VUCAってご存知ですよね😉?
一応、念の為、こういうことです☟
- Volatility (不安定)
- Uncertainty (不確実)
- Complexity (複雑)
- Ambiguity (曖昧)
ざっくり言うと、予測不可能な環境変化をする時代ってことですね。
で、会社はそんな時代にどう対応すべきなのか?
その一つの答えとして、GLOBISの記事を紹介します☟
VUCA時代とも言われる現代。
GLOBIS記事「VUCA時代に成長し続ける組織を作るには?」嶋田毅氏著
その特徴の1つに、(略)持続的競争優位が実現しにくいということが挙げられます。
こうした時代に成長し続ける上で必要となるのは(略)「学習する組織」の実現です。
経営環境の変化が早い時代には、(略)昔ながらの戦略策定・実行プロセスでは遅すぎます。
戦略の策定と実行が同時並行に行われるくらいでないと、(略)負けてしまうのです。
学習する組織とは、端的に言えば、「目的に向けて効果的に行動するために、集団としての意識と能力を継続的に高め、伸ばし続ける組織」のことです。
つまり、こういうことですね☟
- VUCA時代を生き抜くには、会社を学習する組織にしなければならない
- 学習する組織とするには継続的に組織能力を高めていくことが必要である
では、継続的に高めていくべき組織能力とは、どういう能力なのでしょうか?
現代の最大の環境変化は、デジタル化又はデジタルトランスフォーメーション(DX)です。
デジタル化やDXによる「ルール変更」は既に始まっています。
しかも、この「ルール変更」に適応できず倒産した事例も少なくありません。
こうした倒産事例からVUCA時代に必要な組織能力が何かを知ることができます。
ということで、環境変化に適応できずに倒産した事例を紹介します。
トイザらス
今回紹介するのはアメリカのトイザらスです。
御存知とは思いますが、日本のトイザらス(日本トイザらス株式会社)は倒産していません。
トイザらスの繁栄から倒産までは、ざっくり以下の通りです;
トイザらスは、おもちゃのスーパーマーケットという新しい概念を玩具市場に持ち込み、世界最大の玩具スーパーに発展した。
しかし、eコマースの台頭によりトイザらスの勢いが翳り始め、1998年には1.3億ドルの純損失を計上した。
その後、eコマースへの参入を試すが上手くいかず、2005年に投資会社に買収された。
買収後も業績回復とはならず、2017年9月にチャプター11を申請し倒産した。
ちなみに、トイザらスの創業から繁栄の歴史は下記の通り;
- 1957年に創業
おもちゃのスーパーマーケットという新しい概念を持ち込む
豊富な商品ラインナップとメーカー直取引及び大量購買による価格破壊でシェアを拡大 - 1988年には全米シェア20%を獲得し、世界最大の玩具スーパーとなる
- 1990年代には海外展開し、1991年には日本市場にも参入
- 1990年代前半には全米シェア25%を獲得するまでに発展
一方、トイザらスの繁栄からの転落は下記の通り;
- 1997年にイートイズが開業するなどeコマースが台頭、トイザらスの勢いが翳り始める
- 1998年には全米シェア17%にまで落ち、1.3億ドルの純損失を計上
- 1998年6月にネット販売を開始
クリスマス商戦での遅配による訴訟沙汰など体制不備を露呈 - 1999年1月にネット販売専門の子会社を立ち上げ
既存店舗への配慮を優先、子会社に価格決定権を与えずに子会社CEOが愛想を尽かして辞職 - 2000年にはアマゾンと10年の長期パートナーシップ契約を締結
売上は確保できたが黒字化出来ず、顧客情報など貴重なデータはアマゾンが保有
アマゾンが仕入先をトイザらス以外にも強化するため一方的に契約打ち切り - 2005年に投資会社に買収される
買収時に抱えた過剰な負債が負担となり再浮上できず - 2017年9月に連邦倒産法第11条(チャプター11)を申請
これを見てお気づきでしょうか?
トイザらスはeコマースに対して何も手を打たなかったわけではないんです。
1度目はネット販売、2度目はネット販売専門の子会社、3度目はアマゾンとの協業。
色々と手は打っていたのです。
では、なぜ、トイザらスはeコマースへの取組みに失敗してしまったのでしょうか?
「世界倒産図鑑」では、後日談と断りながらも、このように分析されています☟
後日談的に言えば、1990年代後半においてトイザらスにとって大きな収益を生み出していた既存の実店舗の業績を短期的に落としてでも、まだ赤字しか生み出していなかったオンライン事業でのイートイズなどとの戦いを優先させるべきだった
「世界倒産図鑑」(荒木博行氏著)
トイザらスは、既存事業より新しいオンライン事業(eコマース事業)を優先すべきだった。
つまり、トイザらスは事業構造変革への覚悟が足りなかったと分析しています。
なぜ、トイザらスは事業構造変革への覚悟が足りなかったのか?
「世界倒産図鑑」ではこのように分析されています☟
eコマースの出現をゲームのルールが変わったと認識せず、「既存のルール前提での正しい対応」をしてしまった
「世界倒産図鑑」(荒木博行氏著)
新しいルールのゲームが始まっているのに、古いルールでそのゲームを戦おうとしていた。
つまり、トイザらスは、ルールが変わったことへの認識が甘かったのです。
では、どうすればルールが変わったことに早く正しく認識できるようになるでしょうか?
「世界倒産図鑑」が一つの答えを示しています☟
トイザらスは、この変化の激しい時代において、「解像度の高い新たなレンズ」を持ち合わせているか、という本質的なメッセージを伝えてくれる事例なのです。
「世界倒産図鑑」(荒木博行氏著)
まず、「解像度の高いレンズ」で時代の流れを観察し、ルール変更を早く正しく認識します。
そして、そのルール変更の認識をもって、事業構造変革を描き断行します。
そうすれば、VUCA時代の急激な変化にもついていけるはず、ということですね😉
VUCA時代に必要な組織能力の一つ目は、ルール変更認識能力です。
コダック
次は、130年もの歴史を持つグローバル大企業の倒産です。
このコダックの倒産は、デジタル化の波に乗り遅れた代表例として紹介されることも多いです。
「デジタルディスラプションの渦に飲み込まれないためには、どうすれば良い?」
そんなことを考えながら、この事例を見ていきましょう。
コダックの繁栄から倒産までは、ざっくり以下の通りです;
コダックは世界で初めてロールフィルムを発売し、大々的な広告宣伝やフィルム代理店との関係強化とレーザーブレード戦略によりフィルム市場を拡大させ成長した。
1970年代には米国内フィルム市場及びカメラ市場のシェア大半を占め、圧倒的ナンバーワン企業となった。
しかし、1990年後半のデジタルカメラ浸透とともに競争力を失っていった。
その後もデジタル化の波に乗れずに、2012年にチャプター11を申請し倒産した。
ちなみに、コダックの創業から繁栄の歴史は下記の通り;
- 1897年に創業、世界で初めてロールフィルムを発売
大々的な宣伝とフィルム販売店との関係強化に努めフィルムの認知度を向上
また、カメラを低価格で売り、その後のフィルム販売で儲けるレーザーブレード戦略を採用
時代を見極めた正しい戦略を推進した結果、フィルムの市場拡大とともに順調に成長 - 1962年には売上高10億ドルに達する
- 1975年に世界最初のデジタルカメラの試作機を作る
- 1976年には米国内のフィルム市場の90%、カメラ市場の85%を占める
圧倒的ナンバーワンとなり有力な競合他社が現れず - 1981年には売上高100億ドルに達する
一方、コダックの繁栄からの転落は下記の通り;
- 1981年にソニーが電子スチルビデオカメラ「マビカ」を発売
デジタル化により市場が大きく変化し始める - 1992年にデジタル写真保存用製品「フォトCD」を商品化
レーザーブレード戦略によりビジネスモデル全体を抑えようとした - 1995年にカシオがデジタルカメラ「QV-10」を発売
以降、デジタルカメラに多くのプレイヤーが参入し、コダックは競争力を失う
デジタルデータの記録媒体は独自の進化を遂げ、「フォトCD」は市場に定着せず
また、既存事業のフィルムは富士フィルムの価格攻勢に遭い収益力を失う - 2012年に連邦倒産法第11条(チャプター11)を申請
上記からも分かるように、コダックはデジタル技術に遅れていたわけではありません。
デジタル化の流れに気付き、デジタル技術への開発投資もしていたんです。
なのに、なぜ、デジタル化の波に乗り遅れたんでしょうか?
「世界倒産図鑑」では、コダックの技術ではなくビジネスモデルに着目しています。
コダックは創業以来、(略)「レーザーブレード戦略」で大成功を遂げました。
「世界倒産図鑑」(荒木博行氏著)
つまり、上流の製品と下流のフィルムまでを一貫して手掛け、入口のハードルを低めながら全体で収益を上げる戦いによって成功していたのです。
しかし、デジタル化の流れは、(略)「一貫した仕組み」を分断し、破壊します。
ハードはハードで、ソフトはソフトで、切り離された戦いを成立させていくのです。
こういうことを、専門用語ではビジネスの「アンバンドル化」と言います。
コダックがデジタル化に対応できなかったのは、技術ではなく、ビジネスモデルだったのです。
コダックを圧倒的ナンバーワンにしたビジネスモデルが、デジタル化とは相性が悪かったのです。
コダックは、技術はしっかりとデジタル化を追いかけていました。
でも、ビジネスモデルはデジタル化に抗い、既存のビジネスモデルを維持しようとしました。
その結果、レーザーブレード戦略はアンバンドル化にボロボロにされてしまいました。
コダックは、ビジネスを何としてでも「統合型」として成立させるように仕掛けていきますが、それは川の流れを素手で押し止めようとするようなもの。
「世界倒産図鑑」(荒木博行氏著)
(略)
結果的には、その流れを止めることが出来ずアンバンドル化の過程で崩壊していくのです。
なぜ、コダックはビジネスモデルの変革ができなかったのでしょうか?
「世界倒産図鑑」では次のように分析しています☟
コダックには「保守派」「守旧派」と呼ばれるステークホルダーが多く存在していました。
「世界倒産図鑑」(荒木博行氏著)
銀塩周りの写真品質にこだわる技術者や、現像に関わる販売店など、従来のコダックのビジネスモデルによって潤う人たちはたくさん存在したのです。
(略)
この当時の経営陣もビジネスを「ゼロベース」で考えるべきだった(略)。
実際の経営は、こういったジレンマに伴って湧き上がってくる「希望的観測」を黙らせないと前に進まない(略)。
ゼロベースで新しい変化について考える思考力や想像力に欠けていたんですね。
技術などのハード面のみならず、ビジネスモデルなどソフト面についても目を向けなければ、デジタル・ディスラプションの正体を見誤ってしまう、ということです。
また、デジタル・ディスラプションの正体が見えていなければ、既存のビジネスモデルやステークホルダーへのしがらみを捨て「希望的観測」を黙らせるほど冷徹にはなれません。
VUCA時代に必要な組織能力の二つ目は、ゼロベース思考です。
ポラロイド
インスタントカメラのことをポラロイドカメラって呼んでましたよね?
それぐらいインスタントカメラと言えばポラロイドでした。
最近では、私にとってのインスタントカメラと言えば富士フィルムのチェキですけど。
ポラロイドの繁栄から倒産までは、ざっくり以下の通りです;
ポラロイドは1947年に初代インスタントカメラを発表し、その後も小型化や画像品質向上などに努めインスタントカメラ市場を拡大していった。
1980年代にライバルメーカーの追い上げに苦しむも、1986年に発売したスペクトラを大ヒットさせた。
しかし、1995年にデジタルカメラ時代が到来。
デジタル技術の蓄積がないポラロイドは、急激なデジタル化についていけなかった。
収益は急速に悪化し、2001年にチャプター11を申請し倒産した。
ちなみに、ポラロイドの創業から繁栄の歴史は下記の通り;
- 1937年にアメリカの天才発明家が設立
第二次世界大戦中は収入の87%が軍事契約というほぼ軍需企業であった - 1947年に初代インスタントカメラを発表
その後、小型化や画像の品質向上などに努め、インスタントカメラ市場を拡大
1960年代にはポラロイドの株価は4倍に跳ね上がる - 1980年代はコダックや日本企業(オリンパスやキャノンなど)の攻勢に遭う
シェアが27%から17%まで下がる
多額の研究開発投資をかけ既存のアナログカメラをブラッシュアップ - 1986年にアナログベースのインスタントカメラ「スペクトラ」を製品化し大ヒット
一方、ポラロイドの繁栄からの転落は下記の通り;
- 1995年にカシオ計算機がデジタルカメラ「QV-10」を発売
本格的なデジタルカメラの時代が到来
急激なデジタル化の波が表面化、デジタル技術の蓄積のないプレイヤーは一気に置き去りに
ポラロイドもそのうちの一社で、坂道を転げ落ちるように収益悪化 - 2001年10月に連邦倒産法第11条(チャプター11)を申請
先ほどのコダックと同様に、ポラロイドもデジタル技術を無視していたわけではありません。
経営陣はこの状態に手をこまねいていたわけではありません。
「世界倒産図鑑」(荒木博行氏著)
彼らは別の大きなイノベーションの種を抱えていました。
それはデジタル技術をベースにした商品です。
では、なぜ、このデジタル技術をベースにした商品が日の目を見なかったのでしょうか?
こうしたデジタル化に向けた企画は最終段階でことごとく否決されることになります。
「世界倒産図鑑」(荒木博行氏著)
それは、まだデジタル技術の市場が未知数だったこと、彼らにとって重要なフィルムを奪ってしまう可能性があること、そしてデジタル技術で印刷される写真の品質は当時のアナログ写真技術からすれば「粗悪品」に他ならなかったからなのです。
これ、何とももったいない話ですが、大企業で働いていれば似た風景を目にしそうですね。
「世界倒産図鑑」では、経営学者クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』を引用して、このように解説しています☟
可能性には気づいていたけれど踏み込むタイミングでジレンマに陥り、意思決定を間違えてしまったということです。
「世界倒産図鑑」(荒木博行氏著)
(略)
既存の技術体系を持つ大企業において、革新的技術のオーソライズが取れない理由の1つに、「存在しない市場は分析できない」ということを挙げています。
未知数だからダメ、分析できないからダメ、エビデンスがないからダメ。
あれ、最近、同じようなことを聞いたことがあるような、ないような🙄
あっ、これだ☟
スイマセン、少し脱線してしまいました。
話をポラロイドに戻します。
では、ポラロイドはデジタル化に対してどう対応するべきだったのか?
「世界倒産図鑑」は、「分析」ではなく「学習」すべきだったと説いています☟
ポラロイドは「分析」にこだわるのではなく、失敗を前提とした「学習」に意識を向けるべきだったのでしょう。
「世界倒産図鑑」(荒木博行氏著)
(略)
「学習」の文化は(略)薄れていき、企業文化は徐々に「分析重視」になっていたのです。
(略)
私たちは常に「学習気質」をインストールしておく必要があるのです。
「分析できないことにはチャンスがある。失敗を通じて学習していこう」というスタンス
分析するのが好きなんだけど、なかなか行動しない部下。
でも、行動しなければ、何にも結果は出ないんだよなあ😒
分析するのが好きなんでしょうね、失敗の理由を細々しつこく尋ねてくる本社の部長。
でも、過去の失敗理由をこれ以上議論しても、私たちの未来を変えることは出来ないんだよな😒
分析ではなく学習。
議論ではなく行動。
こんな社内の人々を見ていて、ホントに実感します。
「分析できないことにチャンスがある。失敗を通じて学習していこう」
この学習気質を組織にインストールできれば素敵&最強ですよね。
先ほどのビデオですが、対照的な御二方が取り上げられています;
- 蓮舫議員:コロナ対策にエビデンスを求める
- 山中伸弥教授:コロナ対策にエビデンスを求めずに即座の行動を求める
我々のデジタルディスラプション対応に求められるのは、山中教授のようなスタンスですね。
前例がないものに対してエビデンスを求めずに行動、そして、その行動の結果を通じて学習。
流石、ノーベル賞🎖
勝手な想像ですが、山中教授は研究者して数多の失敗を通じて学習してきたから、学習気質が身にしみついているんでしょうね。
私もそんな山中教授に見習いたいと思います。
- 率先して行動する
- 失敗を通じて学習する
- 「分析できないことにチャンスがある。失敗を通じて学習していこう」を社内で説き続ける
私はこんな経営者になりたいと思います。
そうすれば、いずれ、組織に学習気質がインストールされる日が来るはずと信じて。
VUCA時代に必要な組織能力の三つ目は、「失敗を通じて学習していこう」気質です。
今回紹介した倒産事例は、いずれも「デジタル」がキーワードでした。
現在、どの業界であろうと、目の前にデジタルディスラプションの渦が迫ってきています。
今回の事例が示す通り、デジタルディスラプションは「ルール」を見事なまでに変えてしまいます。
そして、「ルール」がどのように変わるかは、業界ナンバーワンでさえ予測できません。
正にVUCA時代の到来です。
繰返しになりますが、このVUCA時代を乗り切るには、学習する組織が不可欠です。
そして、その学習する組織は、具体的に以下の組織能力を継続して高めなければなりません;
- ルール変更認識能力
- ゼロベース思考
- 「失敗を通じて学習していこう」気質
因みに、私は、3の「失敗を通じて学習していこう」気質を最重視したいと思っています。
そのためにも、社内で「やってみなはれ。やらなわからしまへんで。」社風を築き上げたいです😤
VUCA時代は、経営者一人で乗り越えられるほど簡単ではないと思います。
今回の事例を通じて、経営者がすべきことは、組織の学習能力を高める努力だと再認識しました。
そのために、経営者は、まず、組織の学習能力の裏付けとなる社風醸成に努めるべきです。
では、その社風はどうやって作るのか?
その一つの答えとして、この本を紹介しておきます☟



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