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外れスキルの不遇魔導士、ゴミ紋章が王国軍ではまさかのチート能力扱いだった〜国営パーティーの魔王攻略記〜 作者:たにどおり

第三章【冒険者ギルド研修編】

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第34話 フィオーレ

 

 クロムに頭を殴られたフィオーレという少女へ、俺は近寄った。

 服は赤ワインまみれで、殴られた頭部からも血が出ている。

 だが、意外にもフィオーレは痛がる仕草をあまり取っていなかった。


「ったく何よアイツ! いきなりボトルで殴ってくるとか畜生にも程があるわよ! ねえミサキ?」

「そっ、そうだね......。でもありがとうフィオーレ、庇ってくれて」

「別に良いけどミサキ、あなたもっと強く言ったら? ああいうバカ男には本人がちゃんと言ってやらないと」

「ごっ、ごめん」

「また謝ってる。そのとりあえず謝る癖、この国じゃあんま通じないからね?」


 結構元気なやり取りに、傍で魔法を掛ける治癒魔導士ヒーラーの人も苦笑いだ。

 一緒に応急処置をしていたセリカにとりあえず状態を聞いてみる。


「どうだ?」

「傷は浅いので大丈夫っぽいです、治癒魔法も掛けてるので傷は残らないでしょう」

「そうか......、なら良いんだが」


 正直クロムという男があそこまで凶気に走るとは予想外だった。


「フィオーレさんだっけ、大丈夫か?」

「おかげさまで、まぁ......あいつを追っ払ってくれてありがと。まさか手を出してくるとは思わなかったわ」

「俺もだ、場合によっちゃ本当に危なかった」


 フィオーレがその碧眼で俺を見上げてくる。


「あんた、さっきミサキの恋人とか言ってたわよね?」

「うん? あっ、あぁそうだが......」

「フーン、いつから?」

「えぇっと......去年くらい」


 俺が苦し紛れに答えると、彼女の口は吊り上がった。


「プッ......あっはははは!! あんたこういう嘘つくの慣れてないでしょ? そもそも恋人同士なら性で呼び合わないわよ。この子の名字ってなぜか上らしいし」

「うぐっ......」

「なにミサキ、アンタ押しは弱いくせに結構大胆じゃないの」

「いや......直接面と向かって言うの怖いし、恋人がいる体を装えば逃げられるかなーって」


「なるほどねー」と腕を組むフィオーレは、汚れた服を除けばもう何事もなかったかのようだ。


「で、なんのクエスト行くの?」

「えっ?」

「『えっ』て、あんたがさっきクロムに言ってたじゃない。今日はクエストに行くって」


 そういえばそんなことを言った気もする......、あの時はクロムを追い返すので頭がいっぱいだったので、とっさの嘘をかなりついた。


 クエストか......、クロムへの口実を完成させるためには行かざるを得んな。


「じゃあ......とりあえず準備だけでも良いか? さすがに食料や許可も無しに遠出はできない」

「むしろそれでイケるんだ、王国軍って副業禁止じゃなかったっけ?」

「研修名目で頼む、一応引き受けた頼みはやり切りたい」

「へーっ、あんた結構筋あるじゃん。良いよ、わたしも一度帰って着替えたいし」


 フィオーレのそんな褒めているのかわからない言葉を背に受け、俺とセリカはギルドを出た。


「全くとんだ休日だよ、俺は人間相手には慎ましく生きていきたかったのに」

「魔法学院時代、学長のヘイトを溜めまくった人が今更ッスか?」

「あれはもはや理不尽だろ、まぁそのおかげでこうした職に就けたわけだが」


 人生なにがあるかわからんな。

 そして、この状況も含めて――――――


「......おい、セリカ」

「わかってます、大した数じゃないですが囲まれてますね」


 近道しようと人通りが少ない場所へ入った途端これか、俺とセリカはリュックからアサルトライフルを取り出し、初弾を薬室チャンバーへ装填した。



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