昼食は「お食事処 ごんべ」で
尾道駅の徒歩圏内には、瀬戸内海で獲れた新鮮な海の幸はもちろん、近年盛り上がりを見せる尾道ラーメン、お好み焼き屋の名店などが軒を連ね、昼食の選択肢には事欠かないが、ここはあえて車で市街地を離れ、ある食堂に向かってみよう。
駅から走ること10分、国道沿いに見えてくるのが「お食事処 ごんべ」だ。
暖簾をくぐって店内に入ると、割烹着のご主人と気さくなお母さんが出迎えてくれる。カウンターを含め19席のコンパクトな店内は、地元の人達でにぎわっていた。
壁に貼られた、大林監督がご主人やお母さんらと納まった年季の入ったスナップ写真が目に留まる。聞くと、尾道滞在時、監督はしばしば「ごんべ」に食事をしに訪れていたそうだ。そんな縁もあり、20年ぶりの尾道ロケとなった今作『海辺の映画館』では、現場の弁当やケータリングを手配するうちの1軒を「ごんべ」が担当することになったのだという。
この日の日替わり定食は豚肉の主菜をはじめ、煮物、香の物、サラダにかやくごはん、お味噌汁とボリュームもたっぷりながら、野菜を中心に丁寧な薄味で仕上げられており、まさに“おふくろの味”。定食を堪能したあと、ランチ営業がひと段落したご主人に撮影時の様子を尋ねた。
「とにかく暑かったので、一番は食の安全に気をつけていました。また、夏バテ対策で冷やし茶碗蒸しや野菜のゼリー寄せなど、喉越しの良いものも取り入れるようにしました」と工夫を明かす。日々のメニューも採算度外視で、ヘルシーな献立を心掛けたそうだ。「なによりも安全に撮影が終わるのが一番ですから。久しぶりの尾道での撮影ということもありましたので、地元の人間が力合わせて協力しましょうと、利益は関係なくやらせていただきました。ケータリングに行っているうちに片づけを手伝ったりするようになり、ボランティアで現場にも入らせてもらいました」と、にこやかに話す。
取材を終えると、お母さんが「またいらしてくださいね」と声をかけてくれた。ちなみのこのお母さん、『海辺の映画館』本編にも台詞のある役でエキストラ出演されているそう。これから鑑賞される方は、ぜひ画面の隅まで目を凝らしてみてほしい。
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