『時をかける少女』
筒井康隆の同名ジュブナイルを原作に、突然時間を超える能力を持ってしまった女子高生の不思議な体験を描いた『時をかける少女』(83)。本作で実写映画デビューを飾った原田知世のみずみずしい魅力も相まって、いまなお新たなファンを増やし続けている。
土曜日の放課後、芳山和子(原田)は実験室でラベンダーの香りに包まれて気を失ってしまう。和子はクラスメイトの堀川吾朗(尾美としのり)や深町一夫(高柳良一)に発見され、何事もなく帰宅するが、この事件があってから和子は時間の感覚がデタラメになったような奇妙な感じに襲われるようになっていた。ある朝、普段通りに登校した和子は愕然とする。その日の授業が昨日と全く同じ内容だったからだ…。
本作の主な舞台となるのは和子らが通う高校で、教室、グラウンド、体育館、そして“土曜日の実験室”と印象的なシーンの多くがここで展開される。
実際にロケ地となったのは、創立112年を数える尾道市立長江小学校。ここでの撮影は当時中学校を卒業したばかりの原田の春休みを利用して、1983年の3月下旬に高校生役のエキストラを招いて行われた。
今回、土井尚美校長のご厚意により、普段めったに入ることのできない敷地内での取材を許された記者らは、最初に現在も使用されている体育館に向かった。
体育館内は補修こそされているものの、劇中の雰囲気がいまなお感じられる。何度か印象的に登場した横開きの大鏡が、そのままの姿で残っていた。
次に向かったのは、旧校舎にある理科室。生徒が立ち入らないようにかけられた鍵を開けてもらい、廊下を進んでいく。教室内で最初に目に留まるのが、タテにコンセント穴が空いたコンクリート造りの洗い場だ。これも劇中のものと違わない。
そのまま右奥の部屋へと進んでいくと、そこが“土曜日の実験室”だ。映画のなかで原田が倒れるシーンはセット撮影のため雰囲気を残すのみではあるが、フィルムに刻まれた異界感は健在だった。
校舎を出てグラウンドに降り立つと、弓道部の設定だった原田の部活シーンを撮影したのがどのあたりかよくわかる。トラックを歩いてみると、原田がはにかみながら「時をかける少女」を歌う、エンディングの名シーンが否応なしに浮かんできた。
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