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落ちこぼれの兄の方が実は最強〜史上最強の勇者、未来の世界へ転生する。優秀な弟に婚約者を寝取られ、家や学校からも無能と蔑まれてたが、前世の力を引き継ぎ気ままに生きてたらいつの間にか目立ってた 作者:茨木野

第3章

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36.勇者、御三家も余裕で倒す



 成り行きで風紀委員となった。


 その日の昼休み。

 俺はセルカとともに、校内の見回りをしていた。


 廊下にて。


「セルカって、俺の後輩に当たるのか?」


「ハイっす! 自分は中等部の2年生っす!」


「中等部ってなに?」


「せんぱいたちがいるのは高等部。15歳からの少年少女が通うっす。中等部は13~15歳の子。校舎は繋がってるッス」


 俺が思うよりも、この学園は規模が大きいのかも知れない。


「それにしても、ユリウスせんぱい、この間の武闘大会、みたっすよ! すごかったっす!」


「え、そうか?」


「はいっす! 強いし、かっこいいし、優しいし……!」


 ニコニコとした笑顔で、セルカは俺の隣を歩く。


「自分、せんぱいのこと、誤解してたっす。やっぱウワサなんて当てにならねーっす!」


「ウワサねぇ。どんな感じなの?」


「え、ええっとぉ……。怖い先輩だって」


 セルカが目を泳がせながら言う。


 転生前の俺は、少し素行が悪かったのだろうか。


 と、そのときだった。


「ちょっとストップ」


「え、なんすか?」


 ドガンッ……!


「なっ!? じ、地面にクレーターが!?」

「ほぉ、おれの【重力魔法】を避けるか。運の良いやつだな」


 廊下の奥から、ハンサムな男子学生がやってくる。


「お、【オスカ・ペンドラゴン】さんだ!」


「オスカ? え、誰それ?」


「この国の大貴族、御三家の一角! 【ペンドラゴン】公爵の次男坊っす!」


 そう言われてもわからん。


「ふっ……三下どもが騒ぎ立てるから、どんな強敵かと思いきや、カーライルのとこの【忌み子】じゃないか。期待して損した」


 ふぅ、とオスカが落胆のため息をつく。


「誰かと勘違いしてないか?」


「かもしれないな。おまえのような魔無しのクズに、手下どもが後れを取るとは思えない。……が、念には念を入れておこう」


 すっ……とオスカが懐から杖を取り出す。


「おいおい人違いだったらどうすんだよ」


「関係ない。おれは最上級の魔術士の家系。お前を含め、有象無象とは格が違うんだ」


「偉いならなにやってもいいって聞こえるんだけど?」


「当然だ。強ければ偉い、偉ければ何をやってもいい、それが世界の常識だ」


 オスカは杖先を俺に向ける。


「【重力グラビティ】」


 俺を中心として、重力場が発生する。


 ドガンッ!


 地面に亀裂が走り、重さに耐えかねて、床に穴が空く。


「ふっ……ザコが」


「え、誰が?」


「なにぃいいいいい!?」


 すかした笑みを浮かべていたオスカが、大きく口を開いて叫ぶ。


「そんな馬鹿な!? お、おれの必殺の重力魔法がなぜ効かない!?」


「え、対魔法障壁を24時間展開してるんだけど?」


 相手の魔法攻撃を無効化するバリアだ。


 2000年前じゃ、外出時、特に街の外に出るときは必須だった。


「障壁!? ふざけるな! それは超高難易度の防御魔法! 1秒発動させるのだって難しい魔法を、常時発動させられるやつがどこにいるんだよ!」


 大汗をかいて、オスカは動揺する。


「さて、御三家とやらの魔法、見せてくれよ」


「くっ! 【重力グラビティ】!」


「さっきのチンケな魔法で終わりじゃないんだろ?」


「【重力】! 【重力】! 【重力】ぃいいいい!」


 こいつさっきから何叫んでるんだろうか?


「そんな馬鹿な……なぜ魔法が発動しない!?」


「え、【反魔法陣アンチ・マジック・フィールド】を自動展開させてるからだけど?」


「なんだそれは!?」


「相手から魔法攻撃を受けたとき自動で展開する魔法陣だ。これの発動中、相手は同じ魔法を使えなくなる。え? なんでこんな戦闘の基礎技術を知らないの?」


 オスカは顔を真っ青にして言う。


「くそっ! こうなったら、ペンドラゴン家の最終奥義! はぁあああああ!」


 彼の杖先に、魔力が集まっていく。


「これで潰れろ! 【大重力ラージ・グラビティ】!」


 しーん……。


「何で発動しないんだよぉおおおおお!」


「え、あ、ごめんごめん。【反魔法陣】って違う魔法でも、同系列なら消しちゃうんだ。ちょっとまってな」


 俺は魔法陣をしまう。


「これでよし。さ、遠慮無く魔法打ってくれ」


 なぜか知らないが、オスカはその場に膝をつく。


「まるで、赤ん坊扱いじゃないか。この、御三家であるおれが、カーライルのクズ相手に……」


 よくわからないが、オスカは戦意を失っているようだった。


「せんぱい、まじすげーっす!」


 一部始終を見ていたセルカが、キラキラした目を俺に向ける。


「え、俺何かしたっけ?」


 オスカは両手をついて、失意のどん底みたいな顔をするのだった。

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