第十一話:世界最強の暗殺者、レベル5と対峙する【二】
「あ、あの……つかぬことをお伺いしますが……。私の入学試験の
「ん? あぁ、ステラくんは全受験生の中で、三番目という大変素晴らしい結果だったよ。ただ――今年度はルイン=オルフォードという『怪物』がいたからね。なんと言っても彼は、当校創立以来初の『満点合格者』だ! 君との差は……だいたい三十点ぐらいはあったかな?」
なんとも口の軽い彼は、いらぬ情報をペラペラと喋ってしまう。
「さ、三番、目……っ。それも、三十点差……?」
圧倒的大差を耳にしたステラは、思わず立ち眩みを覚えた。
(嘘、嘘よ……。そんなの絶対にあり得ないわ……ッ)
彼女は天才であると同時に、自他ともに認める努力家だ。
これまで一日十時間に及ぶ魔法の勉強を欠かしたことはなく、中等部での全国統一模試では常にぶっちぎりの第一位。
そんな彼女が――負けた。
どこから降って湧いたのかもわからぬ、得体の知れない輩に敗れた。
しかも、席次は第三位、さらには三十点という信じられない大差。
たゆまぬ努力に裏打ちされた自信とプライドが、ズタズタに引き裂かれた。
(ルイン=オルフォード……。ルイン=オルフォード……っ。ルイン=オルフォード……ッ!)
彼女はこの屈辱を忘れぬよう、その名を
「え、えーっと……ステラくん? ちょっと電話が遠いようだけど、大丈夫かい? もしかして……急に都合がつかなくなっちゃった、とか……?」
ただならぬ気配を感じた校長は、恐る恐るそう問い掛けた。
「それは……その、ですね……っ」
本音を言うならば――辞退したかった。
譲られた新入生代表なんて、絶対に嫌だった。
壇上に上がる自分をルイン=オルフォードが嘲笑っているような気がして、見下されているような気がして、馬鹿にされているような気がして――とても、とても悔しかった。
こんな屈辱的な思いをするぐらいならば、いっそのこと新入生代表ではなく、ただ一人の生徒として入学式に臨みたかった。
しかし、誇り高きノーブルバースの娘として、一度吐いた言葉を撤回することはできず……。
「……いえ、謹んでお受けさせていただきます」
ステラは歯を食いしばり、恥辱を受け入れ、泣く泣く壇上に立つことを決めた。
その後、校長との電話を終えた彼女は、すぐに父のもとへ向かう。
「おぉ、ステラ。先生からの電話は――」
「――パパ、
「え?」
七大貴族の当主が所有するアクセスキーは、
全国民の個人情報から、極秘の国家プロジェクトまで閲覧可能となっている。
それを貸し与えることは、たとえ相手が
「お願い、どうしても調べたいことがあるの」
「うぅむ、仕方がないなぁ……。でも、これはとても重要なものだから、あまり悪用しちゃいけないよ?」
子煩悩の父は、愛娘のお願いをあっさりと承諾してしまった。
彼は机の中から三角錐の結晶を――禁書庫のアクセスキーを取り出し、ステラに手渡す。
「うん、わかってるわ。ありがとう、パパ」
それからステラは自室に籠り、逆探知対策済みの専用PCから禁書庫へアクセス。
私立ロンドマルス高校の学生名簿を参照し、そこにズラリと並ぶ名前を食い入るように見つめた。
「ルイン=オルフォード、ルイン=オルフォード、ルイン=オルフォード……見つけた」
新入生の欄に記されたその名前をダブルクリックすれば、彼の顔写真と詳細な個人情報が表示された。
「むっ……ちょっとかっこいいじゃない……。特にこの真っ黒な鋭い『眼』、なんか心に刺さるものがあるわね……って、何を考えているのっ!?」
ステラはぶんぶんと頭を振り、大慌てで思考を切り替える。
「え、えーっと何々……ルイン=オルフォード、十五歳。レベル2の特質系魔法士で、得意魔法は<
この診断は科学的根拠こそないが、大衆から一定の支持を得ているものだ。
「――よし。とりあえずこれで、相手の情報はバッチリね」
禁書庫に記された、ほとんどデタラメなルインの個人情報。
それをしっかりと丸暗記した彼女は、情報戦に置いて優位な立場を築いた――と『錯覚』してしまう。
「ふっふっふっ……。今に見ていなさい、ルイン=オルフォード! この私を
そうしてステラは『打倒ルイン』を掲げ、朝も昼も夜も厳しい魔法の修業に明け暮れるのだった。
※とても大事なおはなし
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