READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

抹消者、再来(ヒストリック)

岩SHOW

 ランク戦にヒストリックが帰ってくるぞ~!

 ここしばらくはイベント戦しかなかったMTGアリーナのオリジナルフォーマット、ヒストリック。『イクサラン』以降のセットと、一部の再録カードが使える、パイオニアやモダンとはまた違ったカードプールでデッキを作って遊ぶものだ。

 このたび『ヒストリック・アンソロジー3』がリリースされると同時に、ヒストリックでのランク戦が常設のものとなった。コアなファンは喜んでいることだろう。ヒストリック未経験のプレイヤーはこれを機に始めてみてはどうだろうか。

 今回のアンソロジーセットで再録されたカードの中には、マニアが歓喜する1枚が含まれている。「祝福されし完成をとくと見よ」という力強く印象深いフレイバーテキストで知られる……《ファイレクシアの抹消者》だ。

 ミラディン次元を侵食し、新ファイレクシアへと生まれ変わらせたファイレクシアの遺伝子を継ぐ者たち。その黒のリーダー格である法務官・シェオルドレッドによって開発された、最強最悪の生物兵器である。大きく裂けた口、身体中から伸びた鞭のような触手、生物としての機能は失い、まさしく殺戮マシーンとして特化した歪な両腕。これはまさしく屍の山を築く抹消者の名に恥じぬクリーチャーだ。

 かつてミラディンを救おうと戦ったエルズペスも、この抹消者の戦団に追い詰められて次元から敗走しており、プレインズウォーカーすらも死に至らしめる危険な存在なのである。

 カードとしても非常に強力で、4マナ5/5トランプルと優れたサイズのアタッカーだ。そしてその能力が恐ろしい。このクリーチャーがダメージを受けるたびに、対戦相手はその値に等しい数のパーマネントを生け贄に捧げなければならない。逆鱗に触れるってやつだ、これが殴りかかってきたら中途半端なブロックはより最悪の事態を招く。ダメージ呪文で除去しようと思っても代償は大きい。破壊や追放など、その狂暴性に火をつけない対処法で応じるしかないのだ。

 というわけで、今回は新しくシーズンが始まるヒストリックのランク戦で使ってみたい、《ファイレクシアの抹消者》デッキを考えてみよう!

 抹消者は強い、強いのだがそのコストは少々ヘビーだ。4マナであるとはいえ、それはすべて黒マナで支払わなければならない。これは黒単以外のデッキには簡単ではない話だ。

 ただヒストリックであれば、土地のバリエーション自体は豊富だ。現スタンダードにも存在する《神無き祭殿》などのギルドランド、《欺瞞の神殿》などの神殿サイクル、《ゼイゴスのトライオーム》のような3色土地。これに加えて《竜髑髏の山頂》などヒストリックならではの選択肢も増える。すべての土地から黒マナが出るように整えれば、単色に少し色をタッチした形のデッキで運用することは可能だろう。《宝物の地図》のようなカードでなんとかする力技もあるしね。

 また、相手は抹消者にダメージを与えまいと振る舞うので、その能力でパーマネントを根絶やしにするには工夫する必要があるだろう。抹消者の能力を能動的に誘発させるにはどうするか。思いつくのは2つ。まず、主に赤が得意とするダメージを与える呪文や能力を使用するという手。《ショック》のような相手のクリーチャーを除去する火力を、抹消者に撃ち込むというオプションだ。

 ヒストリックのカードプールからまず真っ先に思いつくのは《無謀な怒り》。《贖いし者、フェザー》デッキで活躍した、自分と相手のクリーチャー両方を対象とする1マナ火力だ。

 これで相手のクリーチャーに4点与えて除去しつつ、自分の抹消者に2点与えてパーマネント2つの生け贄を要求する、夢の1:3交換は狙ってみたい。

 《目覚めた猛火、チャンドラ》のような全体にダメージを与えるカードとも相性は良い、相手の軽量クリーチャーを薙ぎ倒しつつ、土地などのパーマネントも潰しにかかるのは悪魔的手法だ。《絶滅の星》を叩き込めばクリーチャーを除去しきった上で相手に20個のパーマネントを生け贄に捧げることを要求できる。オーバーキルではあるが、一度はやってみたいドリームコンボだ。

 また色が増えてしまうが、白を絡めれば絆魂を与えることで殴り合いも有利にする《轟音のクラリオン》だったり、2マナで5点火力になりカード2枚と6マナでパーマネント5個持って行く《裁きの一撃》といった選択肢も浮上してくる。

 火力の次に思いつくのは、主に緑に存在するクリーチャー同士を格闘させるカードだ。相手のクリーチャーに抹消者がバクッと噛みついて除去しつつ、相手の反撃を受けることで理不尽な生け贄を強制する。

 近年活躍した格闘関連のカードと言えば《ボーラスの壊乱者、ドムリ》。

 これを使うのであればデッキは3色になってしまうが、軽くて扱いやすく、[+1]能力で出るマナ自体は抹消者の役には立たないものの、クリーチャーが打ち消されなくなるオマケ効果は抹消者を戦場に出したい我々の欲を後押ししてくれることだろう。

 より色を絞れば《再来》なんかも面白い。

 抹消者を墓地にスタンバイさせる下準備は必要だが、インスタントなので相手のターン終了時にいきなり飛び出て格闘してと大惨事を引き起こす可能性には胸が躍る。

 自分から格闘を挑む《黄金の守護者》と組み合わせるのもアツい。

 死亡した守護者は《黄金炉の駐屯所》となりマナ加速&ゴーレム生成マシンとなり、抹消者の八つ当たりで疲弊した対戦相手と大きく盤面の差をつけるのだ。

 ここまでをまとめると……

  • ポイント1:安定運用するには黒単か、なるべくそれに近い土地構成で
  • ポイント2:ダメージを与える呪文や能力、格闘で能動的に能力を使う

 これらを踏まえてデッキを作れば、対戦相手に壊滅的な打撃を与えられるってわけだ。そこで組んでみたサンプルリストが以下のものだ。

岩SHOW - 「黒単抹消者」
ヒストリック (2020年5月)[MO] [ARENA]
21 《
1 《ロークスワイン城
4 《陰謀団の要塞

-土地(26)-

4 《群れネズミ
2 《残忍な騎士
4 《ファイレクシアの抹消者
2 《戦慄の存在
1 《黄金の守護者

-クリーチャー(13)-
4 《苦悶の悔恨
2 《喪心
2 《ソリンの渇き
2 《宝物の地図
2 《ファイレクシアの闘技場
3 《ヴラスカの侮辱
2 《堕落の触手
2 《最古再誕
2 《ウルザの後継、カーン

-呪文(21)-
2 《幽霊街
1 《ボジューカの沼
2 《虐殺少女
2 《強迫
2 《肉儀場の叫び
4 《虚空の力線
1 《不滅の太陽
1 《ウルザの後継、カーン

-サイドボード(15)-

 ドリーミングな赤と緑の選択肢を提案しておいて現実的に黒単なのはご勘弁(笑)。黒単でも《ソリンの渇き》《堕落の触手》(『ヒストリック・アンソロジー1』に収録)とダメージタイプのクリーチャー除去は存在するので、序盤はこれらでクリーチャーに対処しつつ回復してライフを保ち、終盤は抹消者に撃ち込んでプレッシャーを一気にかけるという狙いだ。

 同じくダメージを飛ばし回復する《戦慄の存在》のことも考えれば黒単が一番手堅いなぁと。毎ターン土地を置くだけで相手がパーマネントを2つ失っていくのは愉快極まる光景だろう。

 《ヴラスカの侮辱》《最古再誕》と非常に優れた黒のカードを久しぶりに用いることにもテンションが上がるというものだ。

 在りし日に黒単の要として用いた《ウルザの後継、カーン》もフィニッシャーに据えて。

 《ファイレクシアの闘技場》といい、ファイレクシア感あふれるデッキに、それに立ち向かうカーンを共存させることは実に冒涜的で精神衛生にも良いのだ。

 長くなってしまったが《ファイレクシアの抹消者》は素晴らしいカードである。最後にこのカードの元になった《ファイレクシアの抹殺者》にも触れておこう。

 3マナ5/5トランプルという破格のスペックでありながら、ダメージを受けるとそれに等しい数のパーマネントを自分が生け贄に捧げなければならないという強烈なデメリットを持っている。かつては1ターン目に《暗黒の儀式》から抹殺者を唱えた返しに《》→《ショック》と動かれ、すべてを失うプレイヤーの姿が見られたものだ。

 それだけのデメリットを持ちながらも、クリーチャーも除去も今ほど強くなかった時代には活躍していたカードであり、当時少年だった僕らには憧れの1枚だった。

 その姿形の特徴を受け継ぎ、能力を真逆にしてメリットに変換した抹消者をこの2020年に気分新たに手に取って暴れるチャンスが巡ってきたことは誠に喜ばしい。いつの日か、本家抹殺者も「ヒストリック・アンソロジー」に収録されて夢の競演を楽しめたりしないだろうか。そんな妄想を垂れ流しつつ、今週のデイリー・デッキはこの辺で。

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER