2019年12月に中国湖北省武漢市で確認されて以来、世界中で感染が広がっている新型肺炎。日本でも2020年2月から感染者が増え続け、死に至るケースも出ています。
特に日本国内では感染経路が特定できないケースもあり(2020年2月現在)、予防に努めていてもかかってしまう不安を感じている人が少なくないのではないでしょうか。
では、もしも新型肺炎(コロナウイルス)にかかったら、治療費はいくらかかるのでしょうか?また保険はきくのでしょうか?
新型肺炎での公的保険の取扱い
新型肺炎は過去には例がなかった病気で、2020年1月28日は厚生労働省※1が「指定感染症」に指定しました。これをうけて医療機関では、一般的な患者さんとは異なる受け入れ体制がとられています。また、医療費の負担についても一般的な病気とは一部異なるしくみになるようです。
新型肺炎で入院の場合は公費負担に
病気にかかって治療を受けたり、入院をしたりしたときにかかる医療費のうち、公的な医療保険がきく治療については3割(現役世代の場合)を自己負担するのが原則です。
しかし今回、新型肺炎(コロナウイルス)は「指定感染症」に指定され、新型肺炎で入院した人の医療費は公費で負担することとされました※2。詳細はまだ調整中のようですが(2月現在)、入院したときにかかる医療費について、自己負担が軽減されるよう整備されていくと考えられます。
指定感染症とは?
厚生労働省によると、指定感染症とは次のように定義されています。
既に知られている感染性の疾病(一類感染症、二類感染症、三類感染症及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)であって、感染症法上の規定の全部又は一部を準用しなければ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの(感染症法第6条)
引用元: 厚生労働省「指定感染症について」
これは、新型肺炎(コロナウイルス)は結核やコレラ、鳥インフルエンザなどに準じた措置をとるべき感染症であることを意味します。
このため、新型肺炎に感染した人は厚生労働省に指定された病院である「特定感染症指定医療機関」で治療を受けることになっています(2020年2月現在)。その際には、感染の拡大を防ぐために一般の患者さんとは分離する措置が取られています※2。
なお「指定感染症」の医療費については、すでに自己負担を軽減する制度がある都道府県もあります。たとえば東京都※3では、世帯が負担する所得税額に応じて最大2万円の一部自己負担はあるものの、これを除く金額が公費負担とするしくみになっています。
自治体の制度と国の措置を合わせて、新型肺炎による医療費をどのように負担するかは、今後の状況によって変わっていくこともあるかもしれません。
新型肺炎での民間保険の取扱い
では、もし新型肺炎(コロナウイルス)にかかって入院をしたら、民間の保険はおりるのでしょうか? 現在のところ、病気をしたときに備える医療保険や、治療のために働けなくなったときに備える就業不能保険については、原則として新型肺炎も他の病気と同じ取り扱いとしている保険会社が多いようです。
医療保険は病院への入院で給付
病気やけがで入院や手術をしたときに給付金がおりる医療保険は、新型肺炎の場合も原則通りに保険がおりることとしている保険会社が多いようです。
現在、新型肺炎にかかった場合には入院措置を取られ、対症療法を中心に治療が行われるようです。ですから、治療のために入院をしたら、契約している医療保険から給付金を受け取れるケースが多いと考えられます。たとえば「入院1日につき1万円」のような契約内容であれば入院日数に応じた金額が受け取れますし、契約内容によっては入院をしたら日数にかかわらず所定の一時金を受け取れるものもあります。
なお、いまのところ新型肺炎では手術で治療をするケースはあまりないようですから、保険から手術給付金を受け取ることは考えにくいのではないでしょうか。
就業不能保険は治療で長期間働けない時に給付
病気やけがで働けなくなったときに給付金を受け取れる民間の保険には「就業不能保険」があります。治療のために入院をしたり、医師の指示によって在宅で療養をしたときに保険がおります。
ただし、多くの就業不能保険は60日間や180日間などの「支払対象外期間」があります。つまり働けなくなっても、2カ月から3ヶ月間は保険がおりません。新型肺炎は症状にもよりますが治療期間がそれほど長くはなく、就業不能保険では給付金を受け取る対象にはならないケースが多いと考えられます。
また、日本の保険会社の医療保険や就業不能保険の場合、入院する病院や在宅療養をする自宅は日本国内に限り給付の対象としているのが一般的です。国内で新型肺炎の治療を受ける場合は原則通り給付されると考えられますが、海外やクルーズ船上で治療を受けたときには対象外になるおそれもあります。
新型肺炎での入院時には、ご自身の保険の内容確認を
新型肺炎(コロナウイルス)に関する状況は刻々と変化しており、今後の感染の状況によっては公的な補助の体制や各保険会社の取り扱いが変わることも考えられます。もしも新型肺炎にかかり治療が必要になったとき、公的な補助についてはお住まいの自治体の窓口に、民間の保険の給付については契約している保険会社に確認してみましょう。
とはいえ、いざ入院することになればさまざまな対応に慌ただしくなるかもしれません。あらかじめ、ご自身がどこの保険会社でどんな保険に入っているかや、給付を受けるための窓口の連絡先などを確認しておくと安心ではないでしょうか。
※本記事は2020年2月20日現在の情報を元に執筆しています。内容は随時更新しておりますが、必ずしも最新ではないことがあります。また、個別の状況により費用の負担や給付の受取りについて取り扱いが異なることがあります。個別具体的なケースにつきましては、最寄りの自治体や契約先の窓口などにご確認ください。
※1 出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令等の施行について(施行通知)」
※2 出典:首相官邸「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」
※3 出典:東京都「感染症医療費助成制度」
参考:首相官邸「新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~」
執筆者プロフィール
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー