武漢市の展示会場につくられた臨時医療施設
Photo: Barcroft Media / Getty Images
Text by Zhang Zhulin
新型コロナウイルスの発生以来、感染の中心地となっている武漢市の発表には常に疑念がもたれてきた。
そんななか、いくつかの中国メディアが奮闘している。
そんななか、いくつかの中国メディアが奮闘している。
食い違うメディアと武漢当局の発表
2月23日、武漢市の共産党委員会機関紙「長江日報」は、同日午前中に亡くなった29歳の夏思思医師を賞賛する記事を掲載した。
記事はその中で、「夏思思医師は、新型コロナウイルス感染症の検査で2月14日に陽性と診断された患者の治療にあたった」と伝えた。この記事は中国共産党の機関紙である「人民日報」のウェブサイトにも転載された。
ところが、中国国営放送「中国中央テレビ」は、2月15日に武漢市衛生健康委員会が「2月14日には新型コロナウイルスの新たな感染者はいなかった」と発表したことを伝えていた。
上記「長江日報」が言及した2月14日の感染者は、武漢衛生当局の発表では存在しないことになっていたのだ。
経済誌「財新」と武漢市の間でも興味深いやりとりがあった。2月20日、「財新」は「11人の高齢者が高齢者福祉施設で死亡」と報じた。
すると翌日、武漢市はSNSウェイボーの公式アカウントでこれを否定し、「12人が感染、1人が死亡」しただけだと訂正した。そして、「伝染病流行時に流言を拡散すること」は「7年の禁固刑」にあたると警告を発した。
だが、「財新」は言われるままにはしておかなかった。武漢市による訂正の翌日、同紙の曹文姣記者が、年齢、死因、死亡日を含む同施設の死亡者リストを公開したのだ。
「2019年12月と2020年2月の間に、武漢華南海鮮市場から数100メートルに位置する高齢者福祉施設で19人が亡くなっている」と「財新」は報じた。
証拠をつきつけ当局に反論する「財新」誌
経済誌「財新」と武漢市の間でも興味深いやりとりがあった。2月20日、「財新」は「11人の高齢者が高齢者福祉施設で死亡」と報じた。
すると翌日、武漢市はSNSウェイボーの公式アカウントでこれを否定し、「12人が感染、1人が死亡」しただけだと訂正した。そして、「伝染病流行時に流言を拡散すること」は「7年の禁固刑」にあたると警告を発した。
だが、「財新」は言われるままにはしておかなかった。武漢市による訂正の翌日、同紙の曹文姣記者が、年齢、死因、死亡日を含む同施設の死亡者リストを公開したのだ。
「2019年12月と2020年2月の間に、武漢華南海鮮市場から数100メートルに位置する高齢者福祉施設で19人が亡くなっている」と「財新」は報じた。
その後、武漢市はこの情報を否定していない。
もうひとつ、感染の初期から続いている大きな論争がある。
1月11日、中国国営通信「新華社通信」は「1月10日午前0時までに、41人の感染が確認され、うち7人が重症、1人が死亡した」と発表した。
これを受け、米紙「ニューヨーク・タイムズ」は同日「中国が新ウイルスによる初の死者を発表した」と報じた。
だが、その1週間後、北京の日刊紙「新京報」は別の見解を示した。「中国疾病予防管理センターは最新の研究の中で、2019年12月31日以前に15人の死亡と104人の感染があったことを確認している」と同紙は伝えた。
最初の死者が出たのはいつか?
もうひとつ、感染の初期から続いている大きな論争がある。
1月11日、中国国営通信「新華社通信」は「1月10日午前0時までに、41人の感染が確認され、うち7人が重症、1人が死亡した」と発表した。
これを受け、米紙「ニューヨーク・タイムズ」は同日「中国が新ウイルスによる初の死者を発表した」と報じた。
だが、その1週間後、北京の日刊紙「新京報」は別の見解を示した。「中国疾病予防管理センターは最新の研究の中で、2019年12月31日以前に15人の死亡と104人の感染があったことを確認している」と同紙は伝えた。
同紙はまた上記の記事の中で、中国予防医学会によれば「2019年12月半ばから新型コロナウイルスのヒトヒト感染」が起こっていたと指摘している。
情報統制がおこなわれる中で、いくつかの中国メディアは読者に正確な情報を伝えるべく努力をしているようだ。
情報統制がおこなわれる中で、いくつかの中国メディアは読者に正確な情報を伝えるべく努力をしているようだ。
新型コロナウイルス
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