Kiyoshi Shiraishi of のぞえ総合心療病院


白石 潔

子ども診療部長
外来リハビリテーション部長

精神科医、

略歴

昭和26年(1951) : 福岡市にて出生
昭和51年(1976) : フランス、ブザンソン大学医学部精神科専門医課程を経て、ドゥ県立ジュネブリエル専門病院にてインターンその後同病院にてMedecin attache associeとして常勤医となる

昭和57年(1982) : パリコーシャン大学病院内科外来に勤務し邦人の健康管理勤務を中心にした勤務。パリサンタンヌ病院(ヘンリィ・ルッセル病院=精神科救急支援センター)にて外来を担当。ベルフォール県バビリエ病院児童精神科へ勤務

昭和63年(1988) : 飯塚保養院勤務(現在の飯塚記念病院)へ勤務デイケアセンター所長を経て第一副院長となり、心のクリニック飯塚・子どもセンター所長を務める

平成23年(2011) : のぞえ総合診療病院へ勤務

ブザンソン大学医学部専門医課程(CES)及びパリ第8大学臨床精神分析部門(Section Clinique)にて、精神医学・児童精神医学・精神薬理学・精神科徴候学・精神科症候論・脳生理学・脳解剖学・精神病理学・チーム医療で施行される短期入院治療とリエゾンを含む精神科地域医療を学び、同時に精神分析の臨床を経験して帰国。

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役職

のぞえ総合心療病院(医療法人―コミュノテ風と虹―):子ども診療部部長・外来リハビリテーション部長
日本集団精神療法学会認定スーパーバイザー
日本集団精神療法学会理事
小集団精神療法研究会(福岡)スーパーバイザー
嘉穂保健所「引きこもりの会」アドバイザー
桂川総合福祉センター「子どもの発達」に関する講師

専門分野

構造主義的精神分析
子ども臨床と発達の評価
トラウマに対する「EMDR白石簡易変形型」の実践
児童・思春期・青年期の集団精神療法
障害や不登校などを抱える子ども達の親達への心理教育
障害を抱えた当事者の方々への心理教育

プロフィール

 1976年11月8日を私の精神医療に常勤として携わった誕生日とすると、その誕生日はフランスでの地域精神科医療と短期入院を前提としたチーム医療の病院臨床実践を始めた日となります。1985年までフランスで仕事をして日本に帰国し、日本の精神科医療の実践に携わることになりました。フランスでの体験が私の初めての実践医療でしたので、日本の精神科医療の実状には正直に言って唖然とせざるを得ない印象を持ってしまいました。日本の医療現場での仕事は、このような個人的な心情と共に開始することになったのです。
 私の精神医学に対する関心は、当時から今後、高度に技術革新が成される中で「医療にとって一番大事な要素である治療を施す側と施される側という関係が大切で、治療促進的機能として残って行くのが“精神科”“小児科”“産婦人科”である」という確信に基づいています。
 さらに、フランス人である故ジャック・ラカンが長年に渡って構造論的視点から、論説し伝承し続けた「ことばを話す人間=フロイト的無意識の主体である」を細やかに検討していくと、「我々が、まだ測定することさえ出来ていないエネルギーの存在」に関心を向けざるを得ません。それは「情動」と一般的には呼ばれているものですが、残念ながら実際にはエネルギー量として現在まで測定されたことのない物質性の領域に属するものです。不思議な事に、「精神自動症」を徴候学及び症候論的に細やかに分類し、脳病理学的にもドゥ・クレランボーが提示した精神医学の病理学的視点は、我々臨床家には見逃せません。当然のことながら、フロイトが最早期に産婦人科医であったフリースとの書簡のやり取りを通して概念化した「科学的心理学草稿」は、さすがに現在の画像診断を中心として展開している最前線の脳サイエンスの領域を遥かに超えたものと理解することが出来ます。しかも、フロイトがニューロンの研究の対象とした生物は「ヤツメウナギ」で、生態学的にこの生物を観察すると「食べる時と生殖行為の時だけに行動する」という特性を持っている生き物なのです。
 この「情動量」を測定していく方法論は、ラカンの人間の捉え方にしかその鍵を見出すことが出来ません。つまり、「ことばを話す無意識の主体である人間」を「構造」として抽出することを通して、その可能性が開かれるのです。ラカンの提唱し続けた「構造」とは、「数学」であることは当然であり、末期のラカンの理論構築には「アインシュタインの相対性理論とシュレディンガーの量子力学」を統合した「大統一理論」を経た彼方を見い出しかねない「大統一理論を越えた超素粒子論」の世界を想定させます。
 私は、「胎児を抱える母親と胎児の関係」から、母胎環境と胎児の相関的関係性をモデルに天球>宇宙>銀河系>太陽系>地球>世界>国家>社会>地域社会家族>両親>母親>母胎環境という胎児を中心にした環境を、人間の起源的な最重要な環境と考え「母胎理論」の概念化に専念してきました。
 その結果行き着いた結論は、受精卵の卵割段階の胚性幹細胞によって形成される外胚葉(中枢神経・自律神経・末梢神経)・中胚葉(筋肉・骨等)・内胚葉(内臓器)が形成され、卵割を繰り返しながら胎児の形態形成段階に入って行く過程でした。人間の生命の保存原理は、複雑なメカニズムではありますが人間を生物として構成している細胞は約60兆といわれており、その生体は神経系・内分泌系・免疫系のエネルギーのバランス調整で維持されています。このことを、3つのシステムのエントロピーのバランスで生体が環境に適応しているということもできるでしょう。このように考えることで、「ことばを話すフロイト的無意識の主体である人間」は、ラカン理論を借用して追及すれば、ニュートン力学からアインシュタインの相対性理論の流れと、シュレディンガーから生み出された量子力学の流れを合体させることに到り、いわゆる大統一理論と一致してくるのです。この事実は、私が先に述べた「超素粒子論」が想定されることとなり、ラカンがプラトンの系譜に沿った方法論から選択した「無意識の主体」の「構造」を「形象化」して、トポロジーと結び目の数学を採用して可視化したことから、得られる要素と為る訳です。
 私たち人間は、知的多胞体として生きている生命体です。私の臨床は、スキゾフレニアの予防的治療方法に出発点があります。それが故に、思春期から学童期そして就学前と幼児期、乳幼児期と母子関係に至り、子どもにとっての発達・成長の促進要素の探求が胎児段階の特徴の探求に為ったのです。これを、私は個人的に「生命倫理学体系」と名付けたのです。
 人間は、相互尊重・相互信頼を基盤にしていることを前提として社会生活を営んでいます。子ども達は、国家の財産であると同時に、世界にとっての未来の財産なのです。このように単純に考えるだけでも、子どもを抱えている母親を健全で安心できる環境で抱えていくことが必要になります。当然、地域社会・国家がそれを補償する必要がある訳です。ここに現代社会の病んだ環境に汚染されている子ども達及び妊産婦や周産期の問題を抱えている方々への地域精神保健医療による実践的支援が如何に大切であるかが、自明の理に為るのです。
 病気や障害を抱えている人々にとっての医療機関や他の社会資源も、同様に健全にハンディを抱えている人を抱える環境を補償しなければなりません。治療共同体の基本的理念は、「人間の生きる環境に何が必要であるか」を、社会に投げ掛けていることになると同時に「社会がどのような方法で支援されるべきか?」が、発見されることになる訳です。
 精神科医療は、やっとでありますが徐々に国策医療として、政府が真剣に取り組んでいく枠組みを見出しつつあります。「治療共同体」は、病院の枠を超えて地域に浸透し始め、他の医療機関や町内会との連携段階に入り、いよいよ周産期にある母親・妊産婦・乳幼児・児童・思春期を対象にした、地域密着型の支援体制の実現を目指す段階に入りつつあり、私もその一員として企画の実現に向けて知恵を絞っています。