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地域で「ナイストライ!」と言い合える環境を作り、地域でどんどんあたらしいことを生み出していく岡本啓二さん。地域の内と外をつなぎ強い地域を作る、岡本さんの思いに迫りました。
私たちの財団は、2017年4月に宮崎県児湯郡新富町の旧観光協会を法人化して設立しました。つまり、役場などでは、なかなかやりたくても出来ない様々な活動を行っています。具体的な活動としては、新富町で作られたライチなどの特産品を開発し、都市部を中心とした地域外に販売しています。そこで得た利益をまた地域に持ち帰り、新しい事業や教育に還元します。その教育を受けた方たちが、また新しい事業や開発を行うという循環を作ることで、地域のさらなる活性化を図っています。
私は現在、宮崎県児湯郡新富町の役場職員でもあります。職員として働く中で、地域における人口減少、少子高齢化、財政難というような問題によって、地域自体がこれから「持続可能でなくなる地域の未来」が訪れるというのが現状だと気づきました。「自分の子どもが大人になって、東京や国外にしか行かない未来は嫌だ」という思いがありました。そこで、「自分にも何か地域のために行動できるのではないか」と思い、この財団を立ち上げました。
地域で少し変わったことや、目立つようなことをすると、地元の方たちから白い目で見られることがあります。そうなると、せっかくの地域を輝かせる新しいことが、今いる地域の人たちによって生み出されなくなるのです。このように、都市部に比べて発展しない理由として、どの地域でも足の引っ張り合いがあったりします。若者が集まりやすい場所というよりも、地域の内外の人関係なく、チャレンジしている人に対してネガティブな意見ではなく、「ナイストライ!」と言い合える環境を作ることを大事にしています。
私はまず新富町でチャレンジしたい方一人一人と話します。この町に来ている人たちは、すでに何かに挑戦している方が多く、そんな方たちが集まれば、自然と一緒に頑張る仲間が出てくると思っています。それが広がっていくことで、何かをしようと思ったとき1人や2人ではなく、100人、200人のコミュニティーとなり、チャレンジすることが当たり前の場所が出来上がると考えています。そしてチャレンジャーの“やりたいこと”を“できること”にするため一人一人と向き合い、多様性を大切にするようにしています。
私自身が活動を通して大事にしていることは、常に「誠実でいる」ということです。できるだけまっすぐ物事を見ていこうと思っています。私たちの財団は成功しているように見られがちなので、どうしても成功している部分だけ取り上げられてしまいます。しかし、実際は苦しい部分や課題も常にあります。「誠実でいる」ことで、そういった部分も隠さず人に言うようにして、目の前の課題にちゃんと向き合うようにしています。そうすれば人や物事も誠実に対応してくれると信じています。それが地域の課題解決のカギだと感じています。
私はこの町で生まれて、この町で暮らしてきました。町の中には知り合いが多く、地域内のつながりはありましたが、本当に外に出たことがなかったので、地域外とのつながりは全くありませんでした。しかし、最近は今まで関わりのなかった方々とつながっているという実感があります。この財団の活動の1つである移住者促進プロジェクトなどでは、すでに8人の方が新富町に移住されています。また、ふるさと納税を通して、たくさんの特産品を地域外の方へ届ける機会も増えてきました。このように私たちの活動1つ1つが地域の内と外をつなげることで、地域内の方たちが外を見るようになっていき、それが、共にチャレンジすることへつながると考えています。
そして今回、実際にこの町に移住されてこの財団で働く女性にお話を聞くことができました。
ーどうしてこの町に来られたのですか?
この財団の「世界一チャレンジしやすいまち」というビジョンにとても共感したというのが理由です。これからいろんなことにどんどんチャレンジしていかないと、どの地域もこの先発展がないという危機感を持っていました。
ーこの町がほかの地域と違うと思うのはどのようなところでしょうか?
正解が何かわからないこの時代のニーズに合っている町だと感じています。正解が分からないからこそ、失敗してもいいから何かチャレンジしようと思えるのが、この町のいいところだと思っています。実際、私たちが「こんなことやってみたいです」と言って、「じゃあとりあえずやってみるか~」といった感じです。このように“やりたい”といえる環境が整っています。
ーありがとうございました。
この財団で活動している方たちは、これからどんどん成長して、自分で会社を起こし、仕組みを作っていく段階に入っていきます。この財団を、これから大きくしていくということは考えていません。私たちはあくまで潤滑油です。みなさんが自立し、それぞれの活動をしっかりやっていくことによって強い経済が生まれると思っていて、それが持続可能な地域を作るということだと考えています。この財団でチャレンジする方々、つまりこの地域で挑戦する方々が自立しやすいような環境づくりに力を注いでいきたいと思っています。
岡本 啓二(42)
一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(通称 こゆ財団) 執行理事
宮崎県児湯郡新富町出身。宮崎県立高鍋高等学校、南九州大学卒業。
持続可能で強い地域経済をつくりだすため、「世界一チャレンジしやすいまち」というビジョンのもと、地域経済の創出に取り組んでいる。
ご自身の活動に対する思い。財団に対する思い。その中で活動されている方への思い。地域の方への思い。未来の子どもたちへの思い。お話を通して岡本さんが持つたくさんの思いを聞かせていただきました。そして、僕は全てのお話の中で共通しているものが1つあることに気づきました。それは、岡本さんの地元新富町に対する”愛”です。岡本さんが取材中「地元に恩返しがしたい」と何度かおっしゃっていました。その”愛”が1つ1つの活動に現れ、地元地域の方々に伝わり、特産品に込められ、地域の外に広がっていくように感じました。そして、その愛を受け取った地域外の方が新富町を愛して財団に入り、未来の新富町を作っていっているように見えました。
とてもありきたりな表現になってしまいましたが、そんな”愛”のつながりを感じました。何かを変えるために大切なのは、まずそれを愛することだと、少しですが分かった気がします。
宮崎大学3年 久保 嘉春