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SATAN!!!!! 作者:七夕 真夜
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63話 お久しぶりです

 テストだとかで莉乃亜はいないし、相変わらずトイロは出てこないしで休日を何ヶ月ぶりかに1人で過ごしていた。


 といっても、いつも行く書店に本を探しに行くくらいしか外出しないが。物理系統の本棚を眺めて、たまに気になったものを手に取る。だいたい同じことしか書かれていないから、最初だけ捲って戻すが。物理学だから、本によって違うことが書かれるわけがないもんな。物理系統の本棚から移動して、化学の方を覗く。そういえば化学系の本はあまり持ってなかったな。


 どれが面白そうか探していると、4人組の女子高生が本棚にやって来た。参考書でも探しに来たのかな。


「うわー、全部難しそう」

「でも今の先生何言ってるか全然分かんないから、買った方が良いんじゃない?」

「読んでも分からない気がする」

「どうせ来年も化学基礎だし、軽めので良いでしょ。......あれ、夜宵くん?」


 誰だよ俺の名前知ってる奴。隣の女子高生組を見ると、そのうちの1人と目が合う。ていうか、この制服俺でも知ってるぞ。金持ちが通う私立の女子高じゃん。俺そんな所に知り合いいないんだけど。


「ねぇねぇ、夜宵くんでしょ?」


 毛先だけピンク色に染められた黒髪をポニーテールにした、少し勝ち気な黒目が俺を見ている。


「......誰。」

「ええ!? 忘れちゃった!? 私! 東雲 千瑚!!」


 不安そうにそいつが首を傾げて俺を見る。そういえば見覚えがあるようなないような。


「......あのツインテール?」

「そうそう!! あの時はツインテールにしてたの!!覚えててくれて良かった!!!」

「髪そんな色だったっけ。あと目も。」

「1日染めのジェルだから、毎日変えてるのよ! 目はカラコン。流石に学校にはしていけないけど」


 髪染めるのもダメな気がするけどな。そんなこと言ったら莉乃亜も引っかかりそうだが、綺麗に脱色してるから地毛で通せんのかな。


「千瑚、この人誰? 千瑚の彼氏?」

「無愛想っぽいけど顔整ってんね」

「彼氏じゃないよ!!! 知り合い!!!」


 知り合いっていうか、敵に近いだろ。初対面斬りかかられたし。


「夜宵くんは本探しに?」

「そんなとこ。ていうか、あんたの名前千瑚っていうんだね。」

「ぇ......最初会ったとき確か言ったと思うんだけど......」

「忘れた。東雲ってとこまでしか覚えてない。」

「忘れ......ああでも私の事自体は覚えてくれてたし、そんな所もクール......」

「なんか言った。」

「ううん、何でもないわ!!!」


 東雲がパタパタと両手を振る。その後ろで、東雲の友人が何かに気づいたような顔をした。


「もしかして、この人が千瑚の言ってた......!」

「あの噂の......!」

「何かある度に千瑚が話してくる彼ね。千瑚、うちら向こうの本見に行くから。頑張って。」

「え!? ちょっと」

「じゃ。」


 主旨の分からない会話をすると、東雲の友人は東雲を置いて足早に去っていった。


「いいの。置いてかれたけど。」

「あ、うん、いつもの事だから......」

「ふーん。」


 友達ってそういうものなのか。俺にはまだ少し分からない。


「え、えっと、夜宵くんも参考書とか買いに来たの?」

「参考書っていうか、物理学の方は読み飽きたからたまにはこっち買おうかなって思って。」

「読み飽きた?」

「うん。」

「すごい、頭良いのね......」

「さぁ? 頭が良いかどうかは知らない。自分が興味があって読んでるだけだし。」

「じゃあ、今度勉強教えてもらったりとか、良い? 土曜日小テストとか多くって」

「別に良いけど。わざわざ休みまで学校とか大変だね。」


 うちの学校も休日に補習があるが、あれは強制呼び出しと希望制だ。現文を何度かやらかしてるがまだ呼び出されたことはないし、大した内容を教えてくれるわけじゃないから行こうとは思わない。


「あ、あのさ、連絡先とか聞いても大丈夫?」

「俺は良いけど、そっちは大丈夫なの。」

「大丈夫って?」

「ユジンになんか言われたりとか。裏切ったって思われないの。」

「あんな奴どうでも良いわ。私のプライベートに首つっこむなら斬る。」

「そう。」


 ぜひともそうしてもらいたい。


「ねぇ、ずっと気になってたんだけど夜宵くんは目が青いのね?」

「父親がハーフだから。」

「てことは、クォーター? どこの?」

「北欧のどっか。」

「へぇ!!! なんか、お洒落ね!!!」


 お洒落? 初めて言われたな。


「いいなぁ、私は黒目だから羨ましい。」

「良いじゃん黒目。」

「え、そ、そんなことないわよ!!!」


 なぜか顔を赤らめ、両手を勢いよく振りながら東雲が否定する。てか、俺そろそろ帰りたいんだけど。面白そうな本見つかったし。


「あのさ」

「あ、私、そろそろ皆のとこ戻るわね!!!」

「あーうん、それが良いよ。」

「ほんとに、今度勉強教えてもらっても良い?」

「いいよ。」

「ありがとう!!! じゃあ、またねっ!!!」


 パッと顔を輝かせ、東雲が手を振っていなくなる。夏目とは違う騒がしさのある女だな。俺も早く本買って帰ろ。

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