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天真爛漫系ぶりっ子ヒロインはうけつけない 作者:柊 依央菜

第二章

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これは薄桃色です



 自室の窓から、ユリアーテ辺境伯の砦でもある立派な屋敷に入ってくる一般的な中流貴族の馬車が見える。

 私は何となく気になって正面玄関の方に向かった。玄関の少し前まで来るとダリオン様の声が聞こえてくる。


「 これは、いらっしゃいませ、ライル殿下。そちらは魔道士団長のご子息ですか? 」

「 ユリアーテ辺境伯、約束通りしばらく滞在させて貰うぞ。こっちは、友人のルーカだ 」

「 よろしくお願いします、ユリアーテ辺境伯閣下。俺⋯⋯じゃなくて、私は ルーカ・ネルリーテ と申します 」

「 ああ、よろしく ルーカ殿 」

「 ルーカで良いです。閣下 」

「 ではルーカ、私のことも名前で読んでくれると嬉しい 」

「 ⋯⋯はいっ、ダリオン様 」

「 良かったな。ルーカ!! 」

「 はい、ライル様 」


 にこにこと笑い合う美丈夫一人と美少年二人。なんて微笑ましい光景であろうか。私は廊下の高そうな壺に身を隠しながら覗いていた。

 私は、知っている。あのルーカって子は攻略対象だ。ゲームでヒロインが出会う二番目の攻略対象だった。そして、この間カフェで思い出した “ あーんイベント ” の対象である。⋯⋯それだと、なんか如何わしいイベントみたいに聞こえるな。

 しかし、自分の頼んだケーキを自分のフォークに刺して、相手に口を開けて貰い、「 あーん 」と言いながら食べさせるイベント、だと長すぎる。

 ⋯⋯そんなことはどうでも良かった。とにかく彼は攻略対象だ。ゲームの初対面の感じでは、かなり初心(うぶ)な性格だったと思う。だが、カイル殿下の時はちょろ男だと思っていたら、実は弟狂いであった。私が知らないだけで、ゲームが進んで発覚する事実があるのかもしれない。

 私がそんなことを考えていると、ライル殿下と目が合ってしまう。


「 りんご⋯⋯アリア嬢!! そんなところに何で隠れてるんだ? もしかして驚いたか? 」

「 はっはい!! 驚きました⋯⋯ 」


 本当は、コルマさんに教えてもらってたから来ることは知っていた。が、私は空気を読んで驚いたことにした。そして彼らのもとに進み出た。


「 お久しぶりです。ライル殿下、お元気そうで良かったです 」

「 ふふん!! 俺様は、岩を砕くくらい元気だぞ!! 」


 あっ、それ手紙に書いたことあったな。カイル殿下に変なことを吹き込むなと怒られたやつだ。ここも空気を読んで乗っておこう。


「 私も岩を砕くくらい元気です!! 」

「 ⋯⋯確かにアリアはそうだな 」


 ダリオン様が私に含みのある笑顔を向けてくる。私が本当に出来ることを知っているから仕方がない。


「 アリア、こいつは俺様の友人のルーカだ。ルーカ、このピンク頭はアリアだ 」

「 よろしくお願いします。アリア嬢、私はルーカ・ネルリーテです 」

「 よろしくお願いします。ルーカ様とお呼びしても? 」

「 はい、構わないです 」


 互いに紹介され、挨拶し合う私とルーカ様。⋯⋯ちょっと待て、今、ライル殿下が私のことをピンク頭とか呼ばなかったか? すんなり自分のことと受け止めてしまったがなんか嫌だ。まるで頭の中でえっちなことばかり考えてる人みたいではないか。まぁ、日本人特有の発想をライル殿下に言っても意味はないかな?


「 私の髪は薄桃色ですよ、ライル殿下 」

「 ピンクだぞ 」

「 ⋯⋯いいなぁ、ピンク 」


 何故かルーカ様に羨ましそうな目で見られているのだか、何でだろう⋯⋯。

 そしてこの後、ダリオン様から鋭い指摘をされる。


「 確かにアリアの髪は珍しい色だな。知っている人物で同じ髪の色をしているのはアスリース伯爵くらいか⋯⋯ 」

「 アスリース伯爵か、城の催し物で俺様も何度か見たな⋯⋯ 」

「 何となく目元も似ていますね 」


 三人に一斉に見つめられ戸惑ってしまう私。似ていてあたり前ですよ。だってその人、私の今世の実のお父上ですから⋯⋯。当時赤ん坊だった私が知っていたらおかしいから言わないけどね⋯⋯。




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