2012年4月22日時点で、状況は停戦には程遠いという記事もあり、シリアが今後どうなるかは予想できないが、今回の紛争以前からシリアの産油量は2001年をピークに明らかに減少し、人口増に伴い内需は拡大しており、原油純輸入国に転落するのは時間の問題だった。決して資源豊かではないシリアは天然ガスを少量産出するが、その全量を国内の発電用その他で消費しており、今後は輸入の拡大を迫られる。
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こうなると、シリアは他の手段で外貨を確保しなければならない。2009年アサド大統領は、Four Seas Strategy(4つの海を結ぶ構想:地中海、カスピ海、黒海、ペルシャ湾地域から資源を引き込む)を掲げていた。イラン、イラク、ロシア地域の石油、天然ガスを、シリアを経由して、当時は友好関係にあり大消費地であるトルコや、シリアを経由して欧州や中国へ運び、シリアはパイプ使用料や施設で外貨を徴収するというもの。そして、この計画には、中国が当初から興味を示していたと言うから、大型の開発投資を行っているカスピ海周辺カザフスタン、トルクメニスタン:Kazakhstan Turkmenistanのガスや石油をシリアに売り込もうと思っていたのだろう。シリアはこれを実現させ、アラブ諸国以外や、カスピ海周辺国、エジプトからの資源をシリアに集約して西側に売り外貨を稼ごうという壮大な計画で、一部はすでに着手されていた。参照記事
紛争ぼっ発時、地政学的に反イスラエルのロシアがシリアに固執する理由は容易に察しがつくが、中国がこの資源大国でもないシリアと緊密なのは、この構想に関係があると理解できる。図は四海構想の一つ、イラクの石油をシリアに運ぶパイプライン。別図は、シリア周辺のガス(赤)、石油(緑)のパイプライン網。イラクからシリアの東部に伸びる石油油送は中断しているようだが、このことからまた、地中海に近いイドリブIdolibなどシリア北部の都市の重要性も見えてくる。
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シリアは他の国との資源提携にも活発で、エジプトの天然ガスをヨルダン、シリア、レバノンに運ぶArab Gas Pipeline(AGP)は大方完成しているが、エジプト革命以降、AGPは頻繁に稼働停止しスムーズな供給ができていない。AGPをシリアのアレッポから先に延長してトルコ側のNabuccoパイプラインに接続する計画もあったが、トルコとの関係悪化で難しくなった。
すでに、イラン、イラク、シリアの3ヶ国は2011年7月、イランの天然ガスをイラク経由でシリアにパイプライン輸送するIslamic Gas Pipeline建設で合意していた。さらにシリアは、アゼルバイジャンから天然ガスを輸入することで合意が成立しているが、パイプラインがトルコを経由するため、今回の紛争で不透明になっている。
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アサドの計画はもう一歩のところまで来ていた。うまくいけば、関係するイラン、イラク、トルコ、アゼルバイジャン、中国、それぞれにメリットのある、決して悪くない計画だが、最初にアサドの足を引っ張ったのは、国内の物価高から起きた国内問題だった。その処理を軍隊任せにしたことがアサドの誤算だったのではと思う。その弾圧の状況は即日のうちに世界に伝わった。
世界は人道問題に敏感で、一転してアサドは悪役になった。この計画がうまくいって、シリアが資源国になり潤うことに異論のあるのはどこの国か?個人的にはイスラエルとアラブ産油国しか思い浮かばない。両陣営が仕掛けたという証拠は無いが、懸命に火の粉を煽っているのではと思うのは自分だけか?
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2012年4月23日の国連停戦監視団の報告は「停戦合意は行われていない」という、否定的なものだった。EU(欧州連合)は、シリアに対して14度目となる制裁を導入し、この決定は4月23日、リクセンブルグでのEU外相会議で全会一致で採択された。
2012年4月25日:アナン特使の発言として、特使はシリア情勢に悲観的で、攻撃が激化する可能性があるとみていると報道された。これは最近の、ホムス、イドリブがシリア軍に包囲されつつあることと関係しているのだろう。イドリブはトルコからの侵入した反政府軍の拠点と言われ、4月24日、衛星写真からも包囲が確認されている。
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現在6人から11人になった監視団がシリアにいるが、監視団に状況を伝えた市民がシリア軍に報復されたり、もっとひどい状況(拘束、拷問など)になっているのが現実で、アサド政権には停戦合意に向けた努力が見られないと報告されている。参照記事
記事
- 2012年04月24日 00:02
シリアの「四海構想」に期待した中国
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