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【社説】

サウジ記者殺害 世界は真実を知りたい

 トルコがサウジアラビア総領事館でのサウジ人記者殺害を認定したが、真相解明にはほど遠い。政府を批判する者を闇から闇に葬るような国であるのなら、国際的信用は得られまい。

 殺害されたのはジャマル・カショギ氏=当時(59)。米国に移住し、ムハンマド皇太子が実権を握るサウジで、人権活動家や記者らが次々と拘束されている現状を批判する記事を米紙に寄稿してきた。今月二日に総領事館を訪れた後、消息不明になっていた。

 当初、疑惑を否定していたサウジは過失による死亡だった、と主張。しかし、トルコのエルドアン大統領は、国会での演説で「残忍な計画的殺人だ」と述べ、サウジの主張を全面否定。サウジも二十五日になって計画された犯行だったと追認、容疑者十八人を拘束した、としている。

 しかし、これまでの説明はとても納得できるものではない。エルドアン氏は具体的証拠を示さず、トルコ紙が報じる皇太子の関与についても言及していない。事件を利用してサウジや米国に圧力をかけ、イスラム世界の大国として、トルコの存在感を高めたいエルドアン氏の思惑も透けて見える。

 英仏は事件を強く非難し、真相解明を要求。メルケル独首相は解明されない限り、サウジに武器を輸出しないと言明した。

 これに対し、サウジを反イランの重要な同盟国と位置付ける米国の動きは鈍い。トランプ米大統領も「史上最悪の隠蔽(いんぺい)」と非難したが、千百億ドル(約十二兆円)相当の武器輸出凍結には消極的だ。

 ムハンマド皇太子は石油依存型経済からの脱却を目指し、女性の運転免許取得を認めるなど改革を進めてきた。しかし、人権や言論の自由が保障されなければ、本当の改革とは言えまい。

 日本の原油総輸入量の約四割をサウジが占める。石油依存脱却を支援するため昨年三月には、サウジへの日本企業進出を促す経済特区創設を柱とする「日・サウジ・ビジョン2030」で合意した。

 サウジへの直言には遠慮があるかもしれない。しかし、真実が葬り去られるような国に、安心して投資できるだろうか。

 現に、事件後に開かれたサウジの投資会議へは各社首脳らの出席中止が相次ぎ、ソフトバンクグループの孫正義社長も会議での講演を取りやめた。

 世界と真の信頼関係を築くためにも、サウジは国際社会の要請に応え、真相を語ってほしい。

 

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