BLOGOS編集部
田野:私は昭和52年(1977年)生まれで、安室奈美恵さんと同じ学年。今回の映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の主人公たちとドンピシャの世代です。当時をよく知るからこそなんですが、小沢健二さんの楽曲『強い気持ち・強い愛』をタイトルに持ってこられたのが意外でした。1990年代にあの歌を女子高生たちが歌っていた記憶がなくて。
大根:歌ってないですよ〜。えぇ、そうです、歌っていません。
でも当時、テレビの制作現場で過ごしてきた俺にとって、あの時代を象徴する二大アーティストが安室(奈美恵)ちゃんとオザケン(小沢健二)なんです。90年代はいろんなくくり方があると思いますが、ひとつはフジテレビの時代だった。
『HEY! HEY! HEY! MUSIC CHAMP』は象徴的でした。あの中に90年代以降のいろいろな価値観が詰まっていると感じています。ダウンタウンという、時代を牽引した芸人がMCを務めて、ゲストの頭をバンバン叩く。あの形はそれまでになかったものでした。“ツッコむ”とか“ぶっちゃける”という価値観が出来上がった時代なんじゃないかと。
あそこによく出ていたアーティストたちがひとつの基準となっていて、その中でも安室ちゃんとオザケンというのは非常に大きい存在だったと思っています。
安室奈美恵の引退 そして小室哲哉最後の映画音楽
BLOGOS編集部
大根:安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S、つまり安室さん初期のソロでユーロビート系の音楽をやっていた時、実はそんなに引っかからなかったんです。でもそのあとリズム&ブルースといった当時のアメリカの音楽の潮流を自分の中に引き込んでいって、こういう曲をやりたいんだと最初に言ったのが『Don’t wanna cry』だったそうです。そこからは彼女の歌に強度を感じるようになりました。
「私たちは私たちで自由に生きていく」
(C)2018「SUNNY」製作委員会
大根:今はJKといいますけど、当時はコギャルでしたよね。でも映画の中では自分たちからコギャルとは言わせないようにしていました。彼女たちは自分たちのことをコギャルとは言ってなかった。当時の大人たちが作った言葉だったと認識しています。
93年から95年まで俺自身が渋谷に住んでいたこともあって、面白い状況が生まれてきているなと思って眺めていました。見たこともないファッション、見たこともない人種が、見たこともない行動をしている。それは男に頼らずに「私たちは私たちで自由に生きていく」と彼女たちが宣言しているように見えました。実に頼もしいなって。
90年代に女子高生だった彼女たちに当時のことを尋ねてみると、あの頃は別に何も考えていなかったと言うんですが、何も考えずにあのテンションでいられたのはすごいなと改めて感じました。
田野:私も当時渋谷をウロウロしていましたけど、センター街で見ていた限り、何も考えずにプリクラを撮り、交換し、というのが女の子の行動だったなぁと記憶しています。
(C)2018「SUNNY」製作委員会
今回の映画は韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』がもとになっています。この映画のリメイクをしないかと企画が持ち上がった時、単純に日本に舞台を置き換えて描いても面白くはならないと思ったんです。
というのも、原作の舞台となったのが1985年。韓国の軍事政権が終わって民主化運動が始まった、国の様相が変わっていく大きな転換期になった年でした。原作にはそういった時代のエネルギーが根底にあった。そこで日本版を新たに作るなら90年代のコギャルたちの時代が面白いんじゃないかと提案して、この企画が進行していきました。