「青の魅惑」 時空を旅する多彩な青 〜アディル・ジャン・ギュヴェン氏の青の世界
前回は、メフメット・コチェル氏(トルコ・キュタフヤ在住)を駆け足でご紹介しました。
今回も、トルコ編。イズニック在住のアディル・ジャン・ギュヴェン氏です。
「アディル・ジャン・ギュヴェンさんの素晴しさは、ビザンティン時代〜現代に至るアナトリアの陶器タイルの技術を再現している、その幅の広いテクニックです」とトルコ作家をコーディネートしてくださったルキエさんがおっしゃるように、一人の作家の仕事とは信じられないほどの多彩さに驚きます。
まずは、プロフィルと青についてのコメントを(会場のパネルにてご紹介しています)。
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アディル・ジャン・ギュヴェン Adil Can Güven トルコ イズニック
1953年イネギョル生まれ。陶芸家の家系に生まれ、キュタフヤなど陶器生産の中心地で学ぶ。教職についた後、イズニックに夫人と工房を構える。ビザンティン時代から現代に至るアナトリアの陶器・タイルを伝統的な材料と技法を用いて再現しながら、丁寧で個性的な作品を作り続けている。
「青は深遠でありながら自由そのもの。困難の末に得られる高貴の色」
「深みのある青色を作り表現したいと願うのですが、最初の段階でその発色・濃淡を見極めることのできない青の顔料を使うことは大変に難しい。しかし青は魅力に満ちています。青の持つ深み、高貴さ、そしてその美しい表現力が、私を惹きつけます」
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会場でご紹介できなかった、青についての質問の答えです。(いつか全作家のお答えをアップしたいです)
1.伝統の青の作り方
1200℃で石英、鉛、ソーダの混合物(釉薬)がガラス化した中に、コバルトが溶け込むことにより発色します。(コバルトを)すりつぶし、アラビアゴムと混ぜてから彩色します。
2.伝統の青を作り、色を出すことの難しさ
青の発色の調節のために、数種類の酸化金属が加えられます。彩色と調整が難しいのです。
3.伝統の青にこめられた意味、精神性、願い
私にとって、青とは高質であり、比類無きものです。深みであり、自由です。伝統芸術においては、青は困難の末に得られる高貴の色なのです。
4. 青の作品を作る際、気をつけていることは
深みのある色を作り表現したいのですが、最初の段階でその発色・濃淡を見極めることの出来ない青の顔料を使うことは大変難しいです。
5.日本のイメージ
日本とは、芸術と敬意(尊敬)と礼儀作法によって日々の暮らし(生き方、生活様式)を高めている、微笑みを絶やさない人々の国だと思っています。
6.日本のファンに一言
芸術は共通語であると信じています。お送りしました私の作品によってもまた、お互いに共感することが出来、皆さんに実際にお目にかかることが出来なくとも、皆さんに対する私の敬愛をこの作品で伝えることが出来ると信じます。
ギュヴェン氏のコーナーは、このようになっています。
1:「青」というテーマに合わせて制作されたオリジナル作品。
2:ビザンティン時代から続くアナトリアの陶器・タイルを伝統技法で再現するギュヴェン氏の作品から、青に特徴があるものを選んだ。
<ミトレス手> 西アナトリアやマルマラ海、エーゲ海の島々で、14世紀後半~15世紀に流通したと推測されている。赤い素地の上に白い化粧土を掛け、主にコバルトブルーで彩色されるが、他にターコイズブルー、紫、緑、黒も使われる。フリーハンドによる勢いある筆使いで描かれるのが特徴。
<ダマスカス手> イズニックでは、1530-60年代の短期間にのみ生産された。色がこの様式の特徴で、コバルトブルー、ターコイズブルー、緑、紫などを用いて生き生きと自由に描く。16世紀後半以降、オスマン朝シリアのダマスカスでもつくられたためこの名で呼ばれる。
<スリップウエア> 表面をスリップ(化粧土。粘土や珪土に水を混ぜたもの)で装飾する手法。
イズニックの湖畔の道を歩いているギュヴェン氏の淡々とした姿が忘れられません。奥様とは本当に一心同体。二人の息子さんやお弟子さんたちとの工房は、なごやかで、真摯で、一体感があり、初対面にもかかわらず、こちらでも、すっかり居着いてしまったのでした。
ありがとうございました。
また会いに行きます!!