新中間階級を牛耳る意識高い系オジさんの既得権

豊かさを“運よく”手に入れた人たち

2018年5月15日(火)

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自分を俯瞰できた人はジジイにはならないはずなのだが……(写真:ロイター/アフロ)

 今回は「う~~む」と唸らずにはいられない出来事があったので、それについてアレコレ考えてみようと思う。
 テーマはなんだろう。「50代の負け組意識」、いや「意識高い系の欲望」、いやいや「オジさんたちの夢」……ううむ。どれもしっくりこない。

大手企業の“エリート”の嘆き

 とにもかくにも、
「40代半ばくらいからでしょうか。50代になったら会社を辞めて、セカンドキャリアを歩もうと決心しました」 と話す54歳の男性のインタビュー内容について、掘り下げてみたい。みなさんのご意見もうかがいたいのでお付き合いください。

 では、某大手企業に勤める“エリート”の嘆きから。

 「私は幸運にも上司に恵まれ、若いときからいろいろと経験をさせてもらい、海外駐在にも出してもらいました。

 気がつくとそれなりの役職になり、社長のカバン持ちで出かけることも増え、『このまま会社で上を目指そう』と思った時期もありました。出世がしたいというより、会社というひとつの組織で、どこまで自分が行けるのか?それを試したくなったんです。

 でも、やっぱりそれは思い描いていた自分とは違う。気がつかないうちに、河合さんが言うところの“ジジイ”になりそうになっていました。

 それできちんとベースを作ろうと思って、大学院に進学。ちょうど40代半ばにさしかかった頃です。50代になったら会社を辞めて、セカンドキャリアを歩もうと決心したんです。
 公募がある度にエントリーしてるんですが、狭き門なので全く決まらない。

 え? 目指してる再就職先ですか? ……すみません。詳しくは言えません。

 ただ、決まればすぐに辞めるつもりだった。けどなかなか決まらないうちに会社から大きなプロジェクトリーダーを任されました。上からは現場の次期リーダーの育成もかねてやって欲しいと言われて。今からちょうど1年半前の出来事です。

 自分では『最後のご奉公』のつもりで、できる限りのことをやった。若い人たちにも自分のノウハウを教え、プロジェクトを成功させるために上とも戦ってきました。下もがんばって育ってくれましてね。そろそろ退き時という空気を日々、ヒシヒシと感じています。

 なぜ、そう感じるかって? それはやっぱりプロジェクトのメンバーが自分と距離を置き始めているからです。ついこないだまで寄ってきた奴らが、周りから消えた。現金なものです(苦笑)。

 再就職先が決まりさえすればいいんですけど、ね。ずっとこの会社から退くことだけを考えて準備をしたんですけど、上手くいかない。とんだ“負け組”になってしまいました……情けないです」

……以上です。

 ※“ジジイ”は拙著内で定義したものだが、こちらにも書いてあります。

 何度も言っているとおり、ジジイとはジジイ的なるものの象徴なので、女性にも若い人にも“ジジイ”はいる。

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「新中間階級を牛耳る意識高い系オジさんの既得権」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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