スピン経済の歩き方:山口達也さんの事件で、見落としている「少年の心をもったおじさん」問題 (5/5)

» 2018年05月08日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]
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「少年の心をもったおじさん」が溢れている背景

 山口さん問題で言えば、メディアに対して絶大な影響力を誇る大手芸能事務所が、所属タレントのプライベートやブランディングなどすべてを一括管理する日本特有のマネジメントシステムを根本から見直さなくてはいけない。

 欧米のように営業とスケジュール管理だけを行う「エージェント業務」に徹するようになれば、女子高生を自宅に呼び出すようなタレントは容赦なくパパラッチやらの餌食になる。「ジャニーズタブー」なんてのが機能しなければ、「事務所が守ってくれる」という「甘え」がなくなるので、本当の意味での「エンターテインメントのプロ」しか生き残れない。

 福田さんの問題もシンプルで、20代に受けたテストくらいで、60歳までのキャリアを保証せず、一度役人になったら定年退職まで石にかじりついても勤め上げるというシステムをあらためるべきだ。

 いや、そうなると優秀な人間が霞が関に集まらないとか言い出す人がいるが、試験勉強と空気を読むことに長けた秀才しか寄せ集めてこなかったから、ここまで日本がひどいことになっていることを認めるべきだ。米国で言う、民間企業と役所をいったりきたりする「回転ドア」ではないが、「ムラ」の出入りをもっと自由にしなければ、「忖度(そんたく)」とか騒いでいるうちに、本当に取り返しがつかないくらい日本が弱体する。

 大学生からそのまま大企業にスコーンと入社し、年功序列でのしあがり、定年退職まで身分が保証される。そんな日本社会の「過保護」さが、「少年の心をもったおじさん」をここまで溢れかえらせているのではないのか。

 いずれにせよ、人気タレントやエリート官僚という「ムラのスター」が女性たちからノーを突きつけられるているこのトレンドは、我々一般社会にもやってきている。

 「オレって年齢のわりには若いし、人望もあってそこそこイケてるよな」なんて調子に乗ってるおじさんは、少し我が身を振り返った方がいいかもしれない。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで200件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。

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