■「日本の公務員給与が高すぎる」という偏見に対する私の見解
森友学園問題にからみ国税庁長官を退職した佐川氏の退職金が4,999万円と公開され(一般個人の退職金額を公開するのもいかがなものかと思いますが)、高すぎると一部で批判の声が上がっています。
また、国家公務員全体の給与が高すぎるという声も根強いのですが、トップ官庁の財務省で2,3位のポジションにある国税庁長官の年収が1,700万円程度が本当に高すぎるのか、森友学園問題や佐川氏の証言内容はまったく別として、私は大いに疑問に思います。その理由を挙げてみます。
1.公務員賃金が比較的高いのは男女差が基本的にないから
公務員といえば私が学生の頃から、一生働き続けたいと考える女性たちの憧れの職業でした。なぜなら、民間企業と違い基本的に男女差がない男女平等の賃金体系であり、産休制度なども民間企業と比べ格段に女性が優遇されていたからです。
このまとめ記事は、日本と海外の平均給与と公務員給与を比べたもので、「公務員 年収 高すぎる」というキーワードでググるとトップに出てきます。各国を比較した上で日本の国家公務員給与は高い、ということになっているのですが、元になっている数字がよくわからず(出典サイトをあたってみても「地球の歩き方」などよくわからないサイトが出てきて数字は確認できません)、OECDの統計数字とはかけ離れています。
<まとめ記事の公務員平均年収と国民平均年収> アメリカ合衆国 357万円(国民平均給与額325万円)イギリス 275万円(国民平均給与額240万円)フランス 198万円(国民平均年収180万円)ドイツ連邦共和国 194万円(国民平均年収205万円)
<OECDデータの国民平均年間給与額> アメリカ合衆国 60,200ドル(644万円) イギリス 42,800ドル(458万円) フランス 43,000ドル(460万円) ドイツ 46,400ドル(496万円) 日本 39,100ドル(418万円)
日本の場合は平均給与が他国と比べて低くなっていますが、これは女性の平均賃金が男性に比べて低く、また女性被雇用者の多くを占める非正規雇用のパートタイマーが平均賃金を押し下げているため。
この記事によれば、2014年の男性正規被雇用者の平均賃金は532万円。基本的に公務員には男女差や労働時間が短い非正規雇用(臨時職員を除く)はないわけですから、元となる数字はこれを使わなければおかしいと思います。
その上で、この総務省の統計をまとめたこの記事の一般職員の平均給与を見ると557万円で、民間とほぼ変わりません。これは当たり前の結果で、国家公務員の給与は民間と均衡するように人事院が勧告を行うからで、あまりにも高すぎれば引き下げられ、低すぎれば引き上げられるので差がつくわけがないのです。
2.東証一部上場企業の役員と比べるとキャリア官僚の報酬は半分以下
こちらの記事は、デロイトトーマツが調べた東証一部上場企業の役員報酬額の中央値を紹介しています(2017年)。
それによると、会長が5743万円、社長が5435万円、副社長が4399万円、専務が3780万円、常務が3009万円。
これに対し、政府発表のこちらの資料では、キャリア国家公務員の最高到達点である事務次官の年収が約2,270万円、次の局長クラスで約1,730万円。会長と事務次官、社長と局長を対比させると、民間に比べると事務次官で半分以下、局長クラスでは1/3以下で常務クラスにも遠く及びません。
各省庁のトップも東証一部上場企業トップも、多くは東大や京大という最高学府で机を並べた同期でしょう。その中でも優秀な人ほど国家の将来を担うキャリア官僚としての道を目指したはずです。
ところが、30年もするうちに一般企業の道を選んだかつての同窓生たちとこれだけ給与面で差がついてしまうのです。これでも果たしてキャリア国家公務員の給料は高いといえるのでしょうか?
また、退職金(一般企業の場合は役員退職慰労金)については最近も廃止している企業も多いですが、役員になる前に一般社員としての退職金はきちんと支払われますし、残している企業(比較的役員報酬が低い企業が多い)では、