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【質問3】独自チップを開発できない機器メーカーやサービス・プロバイダーは、開発できる企業とどのように対抗・棲み分けると思われますか?
【回答】テクノロジーの強化

 汎用性の高い「キット」「チップセット」「プラットフォーム」、専用性の高い「ASIC」「独自チップ」が増えているが、そこに投入する技術の質が重要なことに変わりはない。場当たり的な突貫工事で、キットやプラットフォームを作っても、ユーザーはすぐに化けの皮をはがしてしまう。独自チップもやがて陳腐化し、次のステージに向かう。その先で迎え撃つためには、テクノロジーの強化が欠かせない。

 偏重とも言える過去の「テクノロジー重視」が、経済性を度外視した過剰な製品を数多く生み出したことは事実だ。30年超のメーカー内での経験から、多くの社内ルール、過去の遺物が日本メーカーを疲弊させた事実を目の当たりにしてきた。その反動で再構築過程では、多くのメーカーがテクノロジー重視から、テクノロジー軽視とまでは言わないまでも、経済性重視へと舵を切った。

 テクノロジーは池の中から生まれる。池とは「トライ&エラー」のことである。しかし池は再構築の過程で沼になり、やがて役に立たないただの水たまりになってしまう可能性もある。設問の対抗・棲み分け、そのどちらもテクノロジーなき状態では、かなわない。

巨大企業の独自チップといえど、半導体メーカーなしで成立せず

 苦言を呈すようだが、今回のテクノ大喜利の設問を受けたとき、パッケージのマークインやメーカーの発表を受けてこの設問を作ったと思われ、質問者が表面的な現象だけしか見ていないのではと感じた。

 米マイクロソフト(Microsoft)はゲーム機向けなどでは、初代「Xbox」を市場投入した20年近く前から独自チップを作っている。同社が2017年12月に発売開始した「Xbox One X」にはMicrosoftのロゴがパッケージに刻印されたチップが4個ある。しかし実際に開封してみれば、4個ともMicrosoftではない、半導体メーカーの設計したチップであることが明確になっている。仮想現実(VR)用ヘッドマウント・ディスプレイ「HoloLens」向けのチップは、Microsoftの独自開発と言われるが、分解してチップを開封して見てみると同社以外の企業のロゴがついている。つまり、巨大企業が独自開発したと言われるチップでも、半導体メーカーの支援なしでは成立していない。

 グーグル(Google)のチップも開封し、チップの内部を顕微鏡で観察すれば、仕様はGoogleが決めていたとしても、チップ設計はしていないことが分かる。人工知能処理に特化して同社が独自開発したという「TPU(Tensor Processing Unit)」にしても同様である。チップ上には某半導体メーカーのロゴがしっかりとついている。米IBMのチップも同じである。

 表面的な独自性だけではなく、中身を見て独自性の価値を論じることが本質を見極める意味でより重要だと考える。