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独自チップには、設問1で述べたように、ASIC(仕様はユーザーが定義、開発は半導体メーカーが行う)と「自分で作り、自分で使うチップ」の2つがある。この2つはどちらもこの先もなくならない。
ただし、経験則になってしまうが、ASICは仕様があれば、その後はそれをいかに作るかだけの作業になってしまう。実際には機能を引き出すために半導体が必要なので、機能を最大化するための仕事にはユーザーとの間の行き来が必要になる。最初から何の不具合もなく、設計から量産まで一発で行けばよいが、多くはそうはいかない。性能が出ない、機能が動かないなどの不具合があれば、原因を解析し、修正し、莫大な費用をかけて作り直す。自責もあれば他責もある。
ユーザーと半導体メーカーはそれぞれ異なる方向性を持っており、擦り合わせても埋められない溝がある。そもそも半導体メーカーは自社の利益のためにASICビジネスをやっているわけなので、きっちりと動かすまでの作業の費用は上乗せになる。半導体メーカーが自分でやれば、例え不具合があっても自責になる。自責とはノウハウの蓄積だ。
ユーザー側にノウハウの蓄積があれば、半導体メーカー側からの言い分の「いくつか」も見抜けるようになる。アップルは自らプロセッサーを手掛けて久しいが、「A5」プロセッサーまでは、韓国サムスン電子(Samsung Electronics)の「Exynos」プロセッサーに使われたIPを形状も同じまま搭載していた。CPU部は2チップを並べるとまったく同じ形であった。これでは仕様も性能も差異化ができない。その後「A6」プロセッサーからは、自らCPUを作り、やがて「A11」ではGPUやカメラISPまでも自前化した。
一方、米クアルコム(Qualcomm)や台湾メディアテック(MediaTek)は、より汎用性の高い「チップセット」と「プラットフォーム」を強化することで、差異化をデザインや用途に求めるユーザーを対象にして、使い勝手を高めることに成功した。つまり、スマートフォンのように近年立ち上がった分野の機器でも、市場生成期を超えれば汎用チップで競争力の高いビジネスを展開できることが分かる。
アナログチップ・メーカーのチップの多くも、汎用性の高いロングセラー製品の品ぞろえを面で持つ企業は、さらに難易度の高い汎用性を強化し続け、成長を続けている。
残念ながら多くの機器を分解し、内部のシステムを年間300件ほど観察している弊社のデータベースには、日本の汎用チップはほとんど存在しない(決してゼロではない)。ASICやSoCはそこそこ存在するが、汎用チップはことごとく欧米製だ。そこに今、中国が入りつつある。汎用の真の意味理解と汎用への取り組みを、熟考する必要があるのではなかろうか。