日本のネット企業が海外で成功する突破口になるか

 一見すると一貫性がないように見える事業に投資しながらも、それらを束ねて企業価値の最大化に生かす。そうした取り組みは、国内で言うならばソフトバンクグループに近いものだといえる。

 ただし、方法論は大きく異なるように見える。ソフトバンクグループの場合、一定の影響力のある割合の出資をすることで起業家の連合体を作り、自社の価値を高めるという戦略をとっている。それゆえ投資する事業は何らかのプラットフォームとなる事業が主体ではあるものの、その内容に必ずしも一貫性があるわけではない。

 楽天の国内事業も電子商取引(EC)以外は買収によって獲得したものが多く、必ずしも一貫性があるではなかった。だが、それを楽天のIDとポイントを活用して楽天経済圏に取り込むことで、成長につなげてきた。そうした楽天の戦略を、ブロックチェーン技術の登場によって世界規模に拡大できるようになったことで、海外での“勝ち筋”を作れる可能性が出てきたのだ。

 このように企業買収で事業の多角化を進めながらも、後から何らかの仕組みを取り入れて一貫性を持たせていく方法は、日本のネット企業が世界で事業拡大する際の有効な戦術となるかもしれない。。

 無論、楽天コインはまだあくまで構想段階であり、具体的な提供時期は明らかにされていない。ポイントを仮想通貨とすればその価値が乱高下するなどの懸念も出てくるため、楽天の思い描いた通りの運用ができるかどうかも未知数だ。だが楽天コインは、海外事業を成功に導く可能性のある施策であることは間違いない。そうした意味でも、楽天コインの動向は同社の携帯電話事業と合わせて今後大いに注目されることになりそうだ。

佐野 正弘(さの まさひろ)
フリーライター
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。