「朝日新聞叩き」はなぜ受けるのか

自衛隊と憲法の矛盾ははっきりさせなくてもいい

2018年3月2日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 近年、北朝鮮問題、尖閣諸島の問題、竹島の問題等がクローズアップされている。先日も、尖閣諸島周辺の領海に、中国海警局の船3隻が相次いで侵入した事件があったばかりだ。こういった問題に対し、日本も毅然とした対応を取れる体制を整備すべきだという意見が強まっている。つまり、改憲だ。

 それも一理ある。しかし、僕は戦争を知る最後の世代として、戦争に繋がる可能性は少しでも排除したいと考えている。高坂理論のように、憲法と自衛隊は矛盾しつつも保持すべきだという意見に賛成だ。

 さらに言えば、日本は、中国や米国という二大国と強固な友好関係を築くべきだと思う。日本国内では特に反中感情が強いが、中国とは敵対すべきではない。

 ところが、安倍首相の周囲にいる自民党幹部たちの多くは、中国脅威論を支持している。その中で、少数派である親中派が二階俊博幹事長だ。日本の政治家の中で、習近平国家主席とのパイプを持つのは、二階さんだけだと言っていい。僕は、彼の意見に賛成である。日本は、中国と米国の両国と強い友好関係を保つことができれば安全なのだ。

 改憲論然り、中国脅威論然り、日本の世論は今、危険な方向に進んでいるように思えてならない。先日、あるウエブニュースの編集長と話す機会があった。彼が、「日本を肯定する記事、あるいは中韓を批判する記事は読まれやすい」と話していたのが印象的だ。

 これと同時に、社会全体が、自分と異なる意見を受け入れる余裕が失われつつあるとも感じる。日本は長期のデフレに陥り、実質賃金が減少し、非正規社員の占める割合は40%近くに達している。

 格差社会は、人々から寛容な気持ちを奪いつつある。すると、民衆はより過激な意見に流されやすくなる。

 こういった傾向は、日本だけではない。米国でトランプ大統領が誕生したことも、典型的な出来事の一つだろう。

 繰り返すが、僕は戦争を知る最後の世代として、日本が戦争に巻き込まれることは絶対にあってはならないと考えている。しかし、世の中を取り巻く状況がどんどん変わってきてしまった。そこに強い不安を感じるが、だからこそ、僕はこれからも戦争を回避すべく主張を述べていかなければならないのである。

コメント84件コメント/レビュー

祖父母(明治生まれ)や両親(戦中生まれ)の話を聞いて
明治生まれは戦争を経験した
大正生まれは戦場を経験した
昭和生まれは戦後を経験した
と確信する。
さらに昭和生まれの人間(私自身は40台後半)としては、
インターネットを通じて大量の情報に囲まれている
平成の子供たちが各個々人の尊厳をもって、
さまざまな背景を持った他人と対等な関係で
人生を歩んでいけるようにするには
自身が属するグループの歴史、世界をとりまく現在の状況、
将来起こるであろう予測を含めた良質な情報こそが最重要と考える。
人生の大先輩であることを差し引いても
昭和生まれの人間が戦争を知っているなどおこがましいし、
主義主張のために事実を捻じ曲げて流布するなど
平成、次の世代の人間に対して礼を失した態度が
朝日新聞がたたかれる理由であろう。(2018/03/02 15:52)

オススメ情報

「田原総一朗の政財界「ここだけの話」」のバックナンバー

一覧

「「朝日新聞叩き」はなぜ受けるのか」の著者

田原 総一朗

田原 総一朗(たはら・そういちろう)

ジャーナリスト

1934年滋賀県生まれ。早大文学部卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経て、フリーランスのジャーナリストとして独立。「朝まで生テレビ!」「サンデープロジェクト」等のキャスターを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

祖父母(明治生まれ)や両親(戦中生まれ)の話を聞いて
明治生まれは戦争を経験した
大正生まれは戦場を経験した
昭和生まれは戦後を経験した
と確信する。
さらに昭和生まれの人間(私自身は40台後半)としては、
インターネットを通じて大量の情報に囲まれている
平成の子供たちが各個々人の尊厳をもって、
さまざまな背景を持った他人と対等な関係で
人生を歩んでいけるようにするには
自身が属するグループの歴史、世界をとりまく現在の状況、
将来起こるであろう予測を含めた良質な情報こそが最重要と考える。
人生の大先輩であることを差し引いても
昭和生まれの人間が戦争を知っているなどおこがましいし、
主義主張のために事実を捻じ曲げて流布するなど
平成、次の世代の人間に対して礼を失した態度が
朝日新聞がたたかれる理由であろう。(2018/03/02 15:52)

田原さんの意見に対するコメント欄を見るたびに、恐ろしい時代になりつつあるなという感じを受けます。日露戦争後から太平洋戦争終了まで、これとは比較にならないほどの勇ましい言葉があったのでしょう。声なき声というのが、実は最も避けるべきことなのかもしれません。(2018/03/02 15:48)

>日本は、中国や米国という二大国と強固な友好関係を築くべきだと思う。日本国内では特に反中感情が強いが、中国とは敵対すべきではない。

これには同意します。
我々は多大な犠牲をはらって中国の「民主的統一」を阻止し、今も世界最大の国家が、
過酷な人権弾圧国家のままでいる。
人民にはまことに気の毒だが、日本や米国にとって世界最大国家が清朝末期のような
腐敗、退廃の極みにある独裁国家であり続けるほうが遥かにいい。
目覚めた民主国家であっては困るのでしょう。

習氏の国家主席化、権力独占はまさに天佑かも知れない。
筆者も同意見と思うが、腐敗した独裁体制の意地の為の友好、しかない思う。

しかし人民への贖罪のつもりで、民主化派や弾圧されている少数民族への手厚い支援も、
間接的に続けるべきと思う。(2018/03/02 15:36)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

外交と安全保障で大事にしたのは「振り子を素早く静かに戻す」こと。

高村 正彦 自民党副総裁