| 【国民の権利及び義務に関する小委員会・要綱】 |
| ① |
権利と義務の規定の全体について |
|
○ |
基本的人権と国民の義務に関する10条から40条に関しては、おおむね存置することとするが、②以降の点については修正を加えるべきである。 |
|
○ |
各条文の主語が、「すべて国民は…」や「何人も…」であったり、主語がなかったりとまちまちであるので、この際、主語を整理すべきである。 |
|
○ |
「個人の権利には義務が伴い、自由には責任が当然伴う」との趣旨の文言を前文に明記するか、現行12条(自由、権利の保持義務)で言及すべきである。 |
|
* |
前文に関する小委員会との調整が必要。 |
| ② |
基本的人権の不可侵規定(11条)について |
|
○ |
第10章の最高法規を削除することとなった場合は、97条(基本的人権の由来特質)の規定は、11条に包含すること。 |
|
* |
改正及び最高法規に関する小委員会との調整が必要 |
| ③ |
公共の福祉(12、13条)について |
|
○ |
現行の「公共の福祉」の概念は曖昧である。個人の権利を相互に調整する概念として、または国家の安全と社会秩序を維持する概念として明確に記述すべきである。 |
|
○ |
「公共の福祉」の概念をより明確にするため、「公益」あるいは「公の秩序」などの文言に置き換える。 |
|
○ |
「すべての国民は、個人として尊重される」に加えて、「自己の尊厳を保持しなければならない」ことを追加する。なお、「自己の尊厳」については、前文に書くべきとの意見もある。 |
|
* |
前文に関する小委員会との調整が必要。 |
| ④ |
平等の原則(第14条)について |
|
○ |
「人種、信条、性別、社会的身分」に加えて、「障害の有無」によっても差別されないことを付け加える。 |
|
○ |
「門地」は過去の華族、士族、平民などの身分制を指すが、実態がないことや、広い意味の社会的身分に吸収されるため、削除すべきである。 |
| ⑤ |
権利規定で一部修正すべき点 |
|
a.信教の自由(20条)について |
|
○ |
政教分離原則は維持すべきだが、一定の宗教的活動に国や地方自治体が参加することは、社会的儀礼や習俗的・文化的行事の範囲内であれば、許容される。 |
|
* |
国などが参加する一定の宗教的活動としては、地鎮祭への関与や公金による玉串料支出、公務員等の殉職に伴う葬儀等への公金支出などが考えられる。なお、社会的儀礼の範囲を超える多額の公金支出は認められない。 |
|
* |
89条(公の財産の使用制限)のうち、「宗教上の組織若しくは団体の使用、便益、維持のため」公金を利用してはならないとの条文を変更すべきだが、財政に関する小委員会との調整が必要。 |
|
○ |
国や地方自治体は、特定の宗教や宗派を教育することは出来ないが、一般的な宗教に関する教育は実施できる。 |
|
* |
「一般的な宗教に関する教育」とは、それぞれの宗教が持つ特徴や文化的・歴史的要素、あるいは社会や日常生活における宗教の役割などを教えることであり、特定の宗教や宗派を教え、その信仰を強要して改宗を迫るものではない。 |
|
b.表現の自由(21条)について |
|
○ |
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は保障されるが、青少年の健全育成に悪影響を与えるおそれのある有害情報や図書の出版・販売は、「公共の秩序」に照らして、法律によって制限されうることを追加する。 |
|
* |
「思想・表現の自由」は基本的人権の中でも最も重要な概念であるが、有害図書の氾濫という現状を考えるとその一部制限はやむをえない。 |
|
c.結社の自由(21条)について |
|
○ |
暴力的破壊活動を行う結社、あるいは犯罪を目的とする結社は、「公共の秩序」に照らして、法律により制限されうることを追加する。 |
|
d.財産権(29条)について |
|
○ |
第1項の「財産権は、これを侵してはならない」を、「財産権は保護されるべきだが、土地に関しては現在及び将来の国民のための限られた資源であることに鑑み、公益が重視されるべきである」という趣旨の文言に換える。 |
|
○ |
財産権が一部制限される目的として、「公益」の維持に加え、「良好な環境(景観を含む)の保護」を加える。 |
| ⑤ |
追加すべき新しい権利規定 |
|
a.国民の知る権利(情報アクセス権) |
|
○ |
国及び地方自治体は、その諸活動を国民に説明する責任を有する。 |
|
○ |
国民の国などに対する情報開示請求権を明記する。その要件は法律によって規定される。 |
|
b.国民の個人情報などを守る権利 |
|
○ |
国民の個人情報や肖像権及び名誉は、保護されなければならない。 |
|
○ |
国や地方自治体、ならびに法律によって定められた情報管理者は、国民や家庭の個人情報を保護しなければならない。 |
|
c.犯罪被害者の権利 |
|
○ |
犯罪被害者及びその家族・遺族は、個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい処遇が保証されなければならない。(犯罪被害者等基本法の理念からの引用) |
|
* |
現行憲法は犯罪加害者や刑事被告人の権利擁護(33~40条)に偏っており、被害者の権利を守るためには従来の基本的人権規定の適用だけでは十分ではない。被害者の人権擁護の必要性を明記してバランスを確保すべきである。 |
|
d.環境権 |
|
○ |
国民は、現在から将来に亙って、「公益」に反しない限り、良好な環境の下で生活する権利を有する。 |
|
* |
産廃の不法投棄や汚染物質の流出、さらには地球温暖化の脅威などに対抗して、良好な環境の下、健康で文化的な生活を享受するためには、25条の生存権の規定だけでは不十分である。 |
|
e.知的財産権 |
|
○ |
29条の一般的財産権にあわせて、知的創造力を高め、活力ある社会を実現するため、知的財産を保護する制度の整備に努めることを国に課する。 |
|
f.司法への国民参加 |
|
○ |
裁判員制度の施行(平成21年度)に伴い、司法への国民参加(権利と義務の両方)に関する規定を置く。 |
|
* |
この義務については第6章の司法の部分で述べるべきとの意見もあるが、司法に関する小委員会との調整が必要。 |
| ⑥ |
追加すべき新しい責務 |
|
* |
国民一人ひとりが主人公として国づくりに参加する中で、その責任を自ら進んで分担することを明らかにする趣旨で、「責務」という文言を使う。これは裁判所において具体的に強制することが可能な「義務」ではなく、幅広く抽象的な訓示規定を意味する。 |
|
a.国防の責務 |
|
○ |
国家の独立と国民の安全は、国の責務であると同時に、国民の不断の努力により保持されなければならない。 |
|
* |
「国防の責務」は具体的条文に規定するよりも、前文に記述したほうが望ましいとする意見もあるが、その際は前文に関する小委員会との調整が必要。 |
|
b.社会的費用を負担する責務 |
|
○ |
国民は納税の義務(30条)に加えて、社会保障制度の保険料など社会的費用を負担する責務を有する。 |
|
* |
25条の生存権の条項に入れ、「国が社会福祉、社会保障の向上に努める際、国民も社会的費用の負担によって協力する責務を有する。」とする意見もある。 |
|
* |
この責務は法律事項に落とすべきとの意見もある。 |
|
c.家庭等を保護する責務 |
|
○ |
国民は夫婦の協力と責任により、自らの家庭を良好に維持しなければならない。 |
|
○ |
国民は自己の保護下にある子どもを養育する責務を有するとともに、親を敬う精神を尊重しなければならない。 |
|
○ |
国及び地方自治体は、家庭の社会的、経済的及び法的保護を保証しなければならない。 |
|
○ |
国民は相互の協力と参加により、地域社会の秩序を良好に維持しなければならない。 |
|
* |
これらの責務は具体的条文に規定するよりも、前文に記述したほうが望ましいとする意見もあるが、前文に関する小委員会との調整が必要。 |
|
* |
一方、これらの責務を24条(家族関係における個人の尊厳と両性の平等)に加えるという案、法律条項に落とせばよいとする案もある。 |
|
d.生命の尊厳を尊重する責務 |
|
○ |
国民は生命の尊厳を尊重しなければならない。 |
|
○ |
国は、生殖医学や遺伝子技術の濫用(例えばクローン人間の製造など)から、生命の尊厳を保護しなければならない。 |
|
* |
前文に記載すべきとの意見もあるが、前文に関する小委員会との調整が必要。 |
|
e.憲法尊重擁護の義務 |
|
○ |
第10章の最高法規を削除することとなった場合は、99条(憲法尊重擁護の義務)は、第12条で国民の立場に加えて、為政者の立場で憲法尊重擁護義務を触れるか、あるいは前文で触れるべきである。 |
|
* |
改正及び最高法規に関する小委員会、及び前文に関する小委員会との調整が必要。 |
|
f.環境を保護する責務 |
|
○ |
国及び地方自治体は、国民に対して良好な環境を維持する義務を負う。 |
|
○ |
国及び地方自治体がこの責務を遂行する際、国民は環境保護の重要性を認識し、国などに協力する責務を有する。 |