トヨタとパナの提携で加速する次世代電池開発

全固体電池、空気電池の実現可能性はいかに?

2017年12月14日(木)

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会見に出席したトヨタ自動車の豊田章男社長(左)とパナソニックの津賀一宏社長(写真:つのだよしお/アフロ)

 本コラムを執筆している最中に大きなニュースが飛び込んできた。トヨタ自動車とパナソニックが電気自動車(EV)などに使用する車載用角形電池事業で、協業について検討を開始するという。12月13日午後の記者会見では、トヨタの豊田章男社長とパナソニックの津賀一宏社長が出席し、今回の提携に対する狙いを述べた。

 パナソニックは車載用電池では世界最大手。現在は、主に円筒形のリチウムイオン電池を米テスラなどの自動車メーカーに供給している。また、トヨタとは、合弁でプライムアースEVエナジー(PEVE、発足時はパナソニックEVエナジー)を20年前に設立。同社はハイブリッド車(HV)用のニッケル水素電池製造からはじまり、その後、リチウムイオン電池業へと事業拡大を図ってきた。

 これに対し、今回の協業は角形電池に関するもの。報道によると、津賀社長はEVという観点では現在のナンバーワン技術は円筒形電池であるものの、「将来を見たときにどこに伸びしろがあるのかは別の答えがあり得る」と述べ、従来とは異なる技術の開発に挑む決意を示した。

 豊田社長は、会見の中で2030年をメドに世界販売台数の50%以上をEVや燃料電池車(FCV)といった電動車にする計画を発表。これだけ大量の電動車を生産するためには、「車載用電池の性能アップと安定供給が必要不可欠になる」と今回の提携の必然性を述べた。

 両社は、業界ナンバーワンの車載用角形電池の実現を目指すとともに、ポスト・リチウムイオン電池の有力候補と目される全固体電池の開発においても協業を進める。津賀社長は、「リチウムイオン電池の限界が来るまで全固体電池のシフトを実現するよう準備をしたい」と語った。トヨタは、これまでにも全固体電池に多くの投資をしており、両社で今後の方向性を模索していくようだ。

 この発表が代表するように、全世界的に進むEVシフトと連動して、EVの今後の行方を大きく占うのが、ポスト・リチウムイオン電池である。上述の全固体電池をはじめ、リチウム空気電池、多価イオン電池などがその候補。学術界、研究機関、産業界のそれぞれで全世界的に研究開発が進展している。今回は、ポスト・リチウムイオン電池の中でも、リチウム空気電池と全固体電池に関して考察してみたい。

空気電池の可能性に陰り?

 まずリチウム空気電池だが、その実現には課題が大きく、難度が高い。リチウム空気電池は、下図に示すように正極に空気、負極にリチウム金属という構成表現になっているが、正確にはリチウム酸素電池にほかならない。

リチウム空気電池の作動原理

 空気の20.95%を占める酸素以外、すなわち78.08%の窒素、0.93%のアルゴン、0.03%の二酸化炭素は電池反応を阻害する物質であるから、窒素をはじめとするこれらの妨害成分を反応前に除去しなければならないという煩雑さが求められる。それを電池内に組み込んでシステム化するということは、電池がその分、大きくなる。そして反応の応答がその分遅くなることで、出力特性を要求する電池には、そもそも適さない。

コメント2件コメント/レビュー

東芝の原子力の技術使って、使用済み核燃料を完全密閉容器に入れて、10年ぐらいほっといても発電し続けるって電池作れそうな気がするんだけどな。原発事故の頃、大型の軽水炉じゃないそういった感じの超小型原発を町内に1基ずつ設置すれば、日本の電力問題は即解決するみたいなこと言ってた先生いたじゃないですか。それの自動車バージョン。(2017/12/14 10:12)

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「トヨタとパナの提携で加速する次世代電池開発」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

東芝の原子力の技術使って、使用済み核燃料を完全密閉容器に入れて、10年ぐらいほっといても発電し続けるって電池作れそうな気がするんだけどな。原発事故の頃、大型の軽水炉じゃないそういった感じの超小型原発を町内に1基ずつ設置すれば、日本の電力問題は即解決するみたいなこと言ってた先生いたじゃないですか。それの自動車バージョン。(2017/12/14 10:12)

パックにして$190/kWh(2016年)、新型20700型で$140以下を仄めかすテスラ(パナソニック)の言が事実なら、リチウムイオンバッテリーのティッピング・ポイント(1kWhあたり1万円)は間近なのかもしれません。あるいはトップランナーは既にその領域に!?


テスラは50kWh~75kWhとされるモデル3で年産50万台体制を目指し、1台に1000kWhもの大量のバッテリーを用いる電気トラックを生産することで、自ら巨大なリチウムイオンバッテリー需要を起こそうと躍起になっています。

ライバル方式と比べて数々の欠点が指摘されていた液晶テレビが市場を独占した時と、なにやら似た雰囲気を感じざるを得ません。全固体電池が有機ELほどの分かり易いインパクトを持つか?が鍵でしょうか。(2017/12/14 05:59)

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