家具職人が作った本格的な「ネコ家具」について、福岡県大川市に取材した。
歴史ある家具の産地が「ネコ家具」を作成
日本有数の家具産地である大川市。
480年ほど前から続く、釘などを使わずに木材を組み合わせてつくる伝統的なヒキダシ家具「指物」や「木工」を始め、さまざまな専門の家具職人が集まる地域として知られている同市が先日、「ネコ家具できました」というWEBムービーを公開した。
動画は、寝心地の良さそうな立派なベッドが置かれた部屋からスタート。
一見、何の変哲もない寝室だが……。
そこにネコが登場すると、なんだかサイズ感がおかしいのに気がつく。
そう、これは大川市の誇る家具職人たちの手によって作られた「ネコ家具」。
ネコ用だからといって手抜きせず、厳選した木材を使い、卓越した職人技でひとつひとつ丁寧に仕上げた逸品だ。
動画はネット上で「人間用かと思った…」「すごいクオリティ」「可愛い」「ときめいた」「職人の本気が凄すぎる」「うちの猫様にも献上したい」「ネコ飼ってないけど欲しい」と話題になっており、公開からわずか1週間あまりで24万回以上再生されている。
職人の技術を証明しようと発案
なぜ「ネコ家具」を作ったのか。大川市おおかわセールス課に話を聞いた。
大川市の基幹産業である大川家具のプロモーション動画を作るにあたり、「大川の家具職人の技術とセンスを分かりやすく、なおかつ面白く伝えること」を考えました。
大川の家具職人は、お客様のご要望に合わせてどんなサイズの家具も、どんな材質の家具も品質を損なうことなく作る技術があるので、その技術を証明するために、ネコサイズの家具を作ってみました。
ネコベッドを作ったのは、「使えば使うほど家族の景色になる家具」をコンセプトに天然木を使った家具を作っている立野木材工芸。
デザイン性を保つため板を厚さ15ミリに調整し、金具はサイズに合うものが無いので木で作って代用。木の削り出しから圧着、研磨、組み立てに至るまで、人間用の家具と同様に職人が手作業で作った。
ロッキー山脈の松を使った「ネコソファ」も
「上質な生活を提供する家具」づくりに取り組む広松木工は、「ネコソファ」を作製。
提供:大川市
同社で製造する家具をそのまま縮小して忠実に再現しており、デザインとの相性を考えてロッキー山脈でとれた松を材料に使用。
何十年も使い込んだような風合いを出すために家具の角を叩いて丸みを持たせたり、あえてキズをつけたりしていくが、木材の堅さなどで力の加減も変わるため、手作業でしかできないそうだ。自然な味を出すには、職人の技とセンスが必要だという。
出典:「ネコ家具」HP
本物でなければ、納得・感動もない
人間用の家具と遜色ないが、なぜここまで「本物」にこだわったのか。
「本物」でなければ、人を納得させたり感動させたり出来ないと思いますし、そもそも大川の家具職人は「本物」しか作りません。
猫は、きまぐれで自由奔放な生き物の代表です。なんといってもオシャレでカワイイ。
心地よい場所に対して貪欲な猫も満足させる家具だという。
提供:大川市
海外からも問い合わせ
ネコ家具への予想外の問い合わせの多さに驚いているという。
一般のお客様やプロのバイヤーからの注文の問い合わせをはじめ、海外のバイヤーやメディアからも多数の問い合わせが入っています。
市内にある大川市観光・インテリアステーション「大川テラッツァ」では、10月29日までネコ家具を展示。商品化は11月を予定する。
「ネコソファ」は広松木材で、「ネコベッド」は立野木材工芸で購入できる。
480年の技と伝統を守り「よかしごつ」を
最後に、大川市が「家具作り」に込める思いを聞いた。
480年余りの家具づくりの歴史の中で先人が築き上げてきた技と伝統を守り、一瞬たりとも手を抜くことなく「よかしごつ」(良い仕事=完成度の高い製品づくり)を続けていくことこそが大川の職人魂です。